「親なきあと」相談事例 ④

精神障害のために仕事をやめ、親の年金に頼っているケース

精神障害のために仕事が続けられなくなると、社会との接点が薄くなりがちなので、本人が孤立しないような対策が必要になることがあります。そういった場合には、経済面の準備とともに現在の居場所の確保も合わせてアドバイスするようにしています。

■本人は働くことができず、将来の経済面に不安があります

27歳の次女は統合失調症で広汎性発達障害。仕事をやめたあとは無職で、特に日中活動には行ってません。現在は障害年金2級を受給しています。親が働けなくなったあと、本人のためにお金はどうすればいいのか。親としてある程度残せるお金はあるが、自分だけでは管理は難しく、計画性もないので心配とのことでした。

■定期的にお金を渡せる仕組みを具体的に検討しましょう

相続などで一時的に本人がお金を受け取ってしまうと、誰かに騙されたり、自らお金を一気につかってしまったりというリスクがあります。そこで、親が残したお金を定期的に受け取れる方法として、一部の保険会社が扱っている生命保険信託と、信託銀行などが扱っている遺言代用信託を、それぞれのメリットデメリットも合わせて案内しました。
また、お金の管理についても不安があるとのことなので、日常生活自立支援事業の事業内容を説明。さらには成年後見制度の利用が必要になる可能性もあるので、この二つの制度の相談窓口である社会福祉協議会の権利擁護センターを紹介しました。
ただ、現時点で優先して考えたいのは、本人の居場所を作ることです。精神科には定期的に通っていますが、福祉の事業所にはつながっていません。社会との接点を作るためには、地域活動センターや自立支援事業所等に、少しずつ行けるようになってほしいと思います。本人に無理強いしてはいけないので、とりあえず親が地域の機関を訪問して、本人にどのように働きかけていけばいいのかを相談してほしいと伝えました。
本人や家族だけで悩まないように、家族会にも加入することもオススメしました。地域の情報を得ることができますし、同じ悩みを持つ人たちと話すことは、不安を和らげることにもつながります。
親なきあとの住まいのことも考えなくてはいけませんが、あまり一気にいろいろなことをやろうとしてもうまく行かない恐れがあるので、それは今後の課題ということにとどめました。

執筆者プロフィール

渡部伸

1961年生、福島県会津若松市出身
「親なきあと」相談室主宰
東京都行政書士会世田谷支部所属
2級ファイナンシャルプランニング技能士
世田谷区区民成年後見人養成研修終了
世田谷区手をつなぐ親の会会長

著書
障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」
障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本
(ともに主婦の友社刊)

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