お問い合わせのご連絡は

0120-322-150

 平日9時〜17時(土日・祝日・年末年始を除く)

24時間
受付

お問い合わせフォーム

どう向き合う? 発達障害のある子の服薬拒否

病院で薬を出されたけれど、子どもがどうしても飲めない。そんな悩みを耳にすることがあります。飲ませなくては治療にならないと焦ったり、強い口調で指示してしまったり。服薬は毎日のことだけに、壁にぶつかると本人や親御さんのストレスにもつながりやすくなります。

私も自閉症のある息子の服薬拒否については、目下お悩み中です。また私自身、服薬に対して「逆に体に悪いのでは」「依存してしまわないか」「強い薬が必要になっていくのでは」──といった迷いや疑問はずっとあります。

それでも今回は、「(医師の判断のもと)飲む必要があるのに飲めない」状況に焦点を当てて、障害特性のあるお子さんが薬を受け入れてくれるようになるヒントを探っていきたいと思います。

発達障害のある子の服薬拒否:その背景を理解する

発達障害のある子が薬を拒否するのは、決して「ワガママ」でなく、理由があるのだと思います。そして飲めない理由は、偏食と同じくとても多様です。

  • 粒の大きさや形が、飲み込む力や口の発達に合っていない。
  • 感覚過敏(味・におい・触感)によるもの。薬特有の苦味や匂い、粉っぽさが苦手。
  • むせてつらい思いをしたなど、嫌な体験から怖いと感じてしまう。
  • いつもと違う見た目の違和感。薬は合う物を探りながら替えていくのが普通ですが、錠剤の色や形が違うと、それだけでNGになることも。
  • なぜ飲むのか、どれくらいで終わるか、が分からなくて不安。

背景が分かると、子ども自身も困っているのだと気づけます。

発達障害のある子の服薬拒否:家庭でできる工夫とアプローチ

服薬をスムーズにするため、服薬ゼリーの使用や粉薬を飲み物に混ぜるなどの工夫、薬の形状や味の調整は、みなさんも試していらっしゃると思います。

その上で発達特性のある子に家庭でどのようにアプローチできるか、そのヒントをまとめました。

-工夫とアプローチ1:視覚で伝える

服薬は毎日のことだし、普段から「ハイ飲んでね」と口頭で伝えているので、特に絵カードなどを作っていない方も多いかもしれません。でも服薬に限らずなのですが「視覚支援がなくてもなんとか取り組めていること」も、あえて絵や図で示すことで、よりスムーズになることがあるように思います。

このとき構造化を取り入れて、

「ごはんをたべる」⇒「(食器の)おかたづけ」⇒「おくすり」⇒「ごほうび」などの流れで行程図をイラスト入りで作り、子どもに示します。

片付ける場所、薬を飲む場所、ごほうび(ラムネ1つやシール貼りなど)を入手できる場所を定位置に決めておき、「この場所=お薬を飲む」と、空間ごと認識できるようにします。

服薬までの流れに対する安心感が増します。これが習慣になってくれればしめたものです。

-工夫とアプローチ2:キャラクターに頼る

息子が幼少のころは、苦手なことをキャラクターの力でクリアしたことが何度かありました。トイレの便座に座れないときや、野菜が食べられないとき、それをしているキャラクターの切り絵を作って、まねさせて乗り越えてきました。

小さいころは薬で困ってはいませんでしたが、もし当時必要だったら、ヒーローが薬を飲んでパワーをつける切り絵を作っていたと思います。服薬の目的も「飲むと気持ちが落ち着くよ♥」などとキャラクターに語らせることができます。

これらはアプローチ1と組み合わせることも可能です。

-工夫とアプローチ3: 選択肢を与える質問で選ばせる

これは私がよく使う手です。「今飲む?5分後に飲む?」などと選択肢を与える質問をします。

どちらを選んでもたいした差はなく、飲むことにはなるのですが、「自分で決めた」と思わせることで、服薬への抵抗感が低減します。

-工夫とアプローチ4:副作用に気づく

発達障害のあるお子さんは、体の不調に対して鈍感な場合があります。服薬によって、なんとなく体調が悪くなったとしても、はっきりした症状でなければ気づかなかったり、うまく伝えられないこともあるかもしれません。

頭痛がしたり、食欲が減ったり、眠れなくなったりしていないか、気をつけて見てあげてください。薬を替えることで副作用が改善すれば、飲む気持ちが起きるかもしれません。

薬が必要なほどダメな僕──発達障害のある息子が薬を嫌うわけ

ここまで色々書いてきてなんですが、すでに成人している息子には、上記のような対策では太刀打ちできない、深刻な服薬拒否の理由があります。それは「プライド」。障害のある自分を受け入れられないので、薬も拒否してしまうのです。

「薬を飲む僕はダメな人」「薬なんか飲まない普通の人でいたい」

そんな思いが根っこにあると、服薬をはじめた16歳のころから感じてきました。

「あなたが飲むんじゃなくて、病気が飲むんだよ」

私は何度もそう伝えてきたし、目の前で私や家族が薬を飲むところを見せてもきました。でも息子は、どうにか飲まずに済ませようと必死でした。

「飲んだよ」と言うのに、あとで引き出しやポケットから薬が出てきたり、口に入れたのを確認しても、背を向けて口から吐き出すこともあります。

結局、飲み込むまで見届けなければならなくなりました。

自ら使うようになった薬とは(テープタイプの薬が息子にはヒット)

医師に相談したところ、一部の精神薬を貼るタイプに替える提案をしていただきました。湿布薬のようにフィルムをはがして体に貼るテープタイプの薬です。これだと息子は楽しんで自分から貼ってくれるので、薬の成分を体に取り入れることができるようになりました。

障害受容からなんとかしようとすると、とんでもない労力がかかりますが、剤形の工夫で乗り切れたことで、ストレスを軽減できました。

飲む以外の「貼付剤」や「舌下剤」などはまだまだ数は少ないようで、使える年齢も限られたりするようですが、気になる方は一度医師に相談してみてもよいのではないでしょうか。

ご家族がリラックスして

子どもを大切に思うからこそ、なんとか薬を飲ませようと躍起になることもあると思います。一度うまくいった次の日に、また振り出しに戻ったときの無力感も、私も何度も経験してきました。でもそのために叱ったり、「飲まないと病気になっちゃうよ」と脅したりしても、家の空気が悪くなってしまいます。

一日や二日飲まなくても体調が悪化するわけではない、という状況であれば、ご家族が肩の力を抜いて接することも大切かなと思います。ママのイライラは、お子さんに伝わってしまいますから。

いっそ、適当にふざけたダンスでもしながら、流れでポンと薬を口に入れる振り付けでもやってみると、おもしろがって突破できる……なんてこともあるかもしれませんね。薬もごはんと同じで、笑いながら飲んだほうが、体がよろこぶ気がしませんか?

執筆者プロフィール

細川 有美子(ほそかわ ゆみこ)

1968年生まれ、福島県在住。
バックパッカーとして海外旅行中に出会ったエジプト人と2000年に結婚。現地で子供2人を出産する。2003年子供と帰国したのち、息子の発達障害が判明。夫とは2005年に離婚。
これまでに自閉症(中等度発達遅滞)・ADHD・精神障害・難病(クローン病)の診断を受けた息子の子育てと現在を、Instagramで発信。
2014年より取材・執筆活動を開始し、現在は事業所でのパート勤務、再婚の夫とふたりで米づくりにも奮闘している。
◇たきちゃん農場 https://www.takirice.com/
◇Instagram https://www.instagram.com/yumiko_days

この執筆者の記事一覧

関連記事

おすすめの記事