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障害者を支える制度や仕組み疑問に答えるシリーズ- iDeCo編

「親なきあと」相談室主宰の渡部伸です。自分が亡くなったあと、障害のある子どもが定期的にお金を受け取れる制度の中で、比較的新しいものに「個人型確定拠出年金iDeCo(イデコ)」があります。今回はiDeCoについて解説しています。

iDeCoってなんですか?誰でも加入できるの?

iDeCoは個人で定期的に掛金を積み立て、運用して増やしたものを、60歳以降に国民年金や厚生年金にプラスして受け取る老後のためのものです。当初は加入できる個人に条件があったのですが、2017年から年金保険料の支払いを免除されている、障害基礎年金の受給権者も加入できるようになりました。

たとえば親と一緒に住んでいて障害年金をもらっている人は、受け取っている年金を現時点ではあまり使っていない、ということも多いようです。生活費として一定の額を本人の年金から引き出したりもするかもしれませんが、それでも本人の口座にはけっこうなお金が貯まっている、ということも少なからずあるようです。

現在の低金利時代では、お金を口座に入れておいてもほとんど利息はつきませんね。そこで、この使っていないお金を、金額を決めて毎月iDeCoの口座に積み立て、運用して少しでも増やそう、といったことができるようになりました。これを60歳になったら本人が年金として受け取れる、つまり将来の老後資金に回すことができます。なお、障害年金は本人のお金なので、iDeCoの口座への積み立てには、あくまで本人の了解が必要です。

 iDeCoのメリットとデメリットを教えてください

主なメリットとしては、掛金が全額所得控除となり、資産運用で得た利益は非課税で再投資されるなど税制上のものがあります。デメリットとしては、専用口座の開設や口座管理に手数料がかかること、原則60歳になるまで資産を引き出せず、途中解約はできないこと、また、運用状況によっては元本割れする可能性があること、などがあげられます。

途中で積み立てが難しくなったらどうすればいいですか?

親と一緒に住んでいる間は掛金を積み立てられるけれども、グループホームに入所すると家賃などがかかり積み立てが難しくなる、という心配をされる方が多いようです。その場合は、掛金の積み立てを停止して、それまでに貯まったお金を運用だけして、60歳になったら年金として受け取る、ということができます。

利用したい場合はどこに申し込めばいいですか?

iDeCoの利用を始めるためには、窓口となる金融機関を選ぶ必要があります。窓口に行かず、ネット上で申し込みができる会社もあります。証券会社、保険会社、銀行など、口座を開設できる金融機関は多数ありますが、1人につき1つの口座しか開設できません。掛金を払って、預金や保険、投資信託などで運用するという大枠の仕組みは同じですが、取り扱い商品や手数料はそれぞれ異なります。

選ぶ際のポイントとして、以下の点が挙げられます。

・口座管理手数料
・金融商品の品ぞろえ
・サポート体制

金融機関によってこれらに違いがあるので、比較検討して、投資スタイルにあったところを選びましょう。金融機関は口座を開設してからでも変更することはできますが、手間もコストもかかってしますので、慎重に選ばれることをおすすめいたします。

執筆者プロフィール

渡部伸

1961年生、福島県会津若松市出身
「親なきあと」相談室主宰
東京都社会保険労務士会所属。
東京都行政書士会世田谷支部所属。
2級ファイナンシャルプランニング技能士。
世田谷区区民成年後見人養成研修終了。
世田谷区手をつなぐ親の会会長。

主な著書
障害のある子の「親なきあと」~「親あるあいだ」の準備
障害のある子の住まいと暮らし
        (ともに主婦の友社)
まんがと図解でわかる障害のある子の将来のお金と生活(自由国民社)
障害のある子が安心して暮らすために~知っておきたいお金・福祉・くらしの仕組みと制度(合同出版)

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