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忘れ物力

お子さんが定型発達なのか、注意欠如・多動性障害(ADHD)なのかはわかりませんが、自分の子どもに対して「だらしない。忘れ物ばかりしている。時間を守らない。一体どうしたらよいか」と嘆いている人がいます。特に、子どもの忘れ物の多さに悩む親御さんは多いですよね。

でも私はそんな“だらしない”人がうらやましくてたまらないです。

なぜなら完璧主義の私は「忘れ物をしてはならない」、「時刻を守らなくてはならない」と必死で、自身が凄く疲れてしまうからです。この完璧主義が原因で強迫性障害にもなりました。今も精神科に通院、服薬中です。

忘れ物「できない」母子

息子には知的障害を伴う自閉症があります。特別支援学級に在籍していた頃、担任の先生が一斉指導の中で「忘れ物をしてはいけません」「遅刻をしてはいけません」と厳しく注意されたことがありました。それをもともときちんとしすぎている息子は「自分が注意された」と受け止めてしまったようで、それ以来忘れ物や時間に対して必要以上に気にするようになってしまいました。そして、中学生の時に強迫性障害になってしまい、私と同様に精神科に通院し薬も飲んでいます。

(息子は忘れ物をしたからと言って電車を降りて自宅まで取りに来たことがあります。忘れたのはポケットティッシュだというのです。応用が利かずくそ真面目です)

そんな私たち母子から考えると、忘れ物を深刻に捉えない人が本当にうらやましいとさえ感じてしまいます。生きやすそう、生きるのが楽そうに見えます。

忘れ物、届ける?届けない?

さて、子どもが忘れ物をしたとき、親には二つの選択肢があります。ひとつは「何もせずに見守る」こと。もうひとつは「学校に届けてあげる」こと。

忘れ物を届ける選択をした場合、実際はどうなるでしょうか。子どもは「忘れても親が届けてくれる」と誤学習してしまいます。とはいえ、期限が決まっている提出物やお金、体調にかかわる薬などは届ける必要がありますが、筆箱や教科書など多少不便でもどうにでもなるようなものについてはどうでしょうか。

忘れ物を届けないメリット、忘れ物の効用

忘れ物を届けないことで子どもは一時的には不便で困るかもしれませんが、メリットもあると考えています。例えば

  • 明日から忘れ物に気を付けるようになる
  • ピンチに陥ったときに周囲にSOSを出せるようになる
  • 代用品を何とか自分で考える

さらに、「私の貸してあげる」と親切にされ、「友達を大切にしよう」「自分も誰かを助けてあげよう」と思う。

成長のチャンスです!

ヘリコプターペアレンツ(子どもの上をヘリコプターのように常に旋回して見張り、必要以上に干渉する親のことを指す言葉)になって、毎回忘れ物を届けてしまっていては、子どもの成長の機会を奪うことになり、結果的に子どものためになっていませんよね。

忘れ物ばかりする子をどうとらえるか

講演会でこのような質問がありました。

「息子が忘れ物ばかりして困る。何度注意しても同じことを繰り返す、しまいには筆箱、下敷き、体操着を置き傘のように2セット用意してくれとせがまれて用意した。忘れ物はなくなったが(当然)これってどうなんでしょう?」

私はこう答えました。

「自分の苦手を熟知して、工夫できるなんてすごい生命力じゃないですか。きっと将来大物になりますよ」

忘れ物をして叱られても懲りない子ども、親にとっては「何とかならないものか」と思ってしまいますが、長い人生で見た場合、それが強みになることもあると私は思います。

忘れ物力という才能

ホリエモンの『多動力』という本に、落ち着きがない多動は人生において一つの才能なのであると書いてありましたが、「忘れ物力」も同様なのではと思います。

忘れ物をしても気にならない、“だらしない”人を私たち母子はいつもうらやましいと思っています。

 

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

著述家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。
自閉症スペクトラム支援士

『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』
『はずれ先生にあたったとき読む本』
『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな』
など著書多数

日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞作『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル
Voicy  https://voicy.jp/channel/4272
オフィシャルサイトURL https://tateishi-mitsuko.com/
テキトー母さんのすすめ(アメブロ) https://ameblo.jp/tateishi-mitsuko/

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