グループホームの新しい形、日中サービス支援型と共生型

知的障害者のグループホームが制度化されて約30年、グループホームの建設数、利用者数も増えてきましたが、そのバリエーションも広がってきました。新しく始まったタイプのもの、地域独自で取り組まれているもの、以上の2種類をご紹介いたします。

■高齢者の高齢化、重度化に対応した新しいタイプ

 2018年、新たに「日中サービス支援型グループホーム」が登場しました。今までの多くのグループホームでは、入居者は平日の日中は仕事場や作業所に、土日は実家に帰ったり余暇活動に行ったりと、外出することが想定されています。そのため、これらの時間帯は必ずしも生活支援員がいなくても良いとされていました。
ところが、重度あるいは高齢になった障害者の場合、毎日出かけていくのはつらい、部屋でゆっくりしたいというニーズも出てきます。そのときに支援員がいないのは不安ですよね。そこで、この障害者本人の重度化・高齢化に対応するため、誕生したのがこの類型です。

 このグループホームの場合は、常時の支援体制を確保することが基本とされています。日中も必ず支援員がいることになり、今までよりも手厚い支援が受けられます。また、1つの建物への入居を最大20名まで認められています。地域における重度障害者の緊急保護のための宿泊を確保する役割も求められていて、短期入所(5名まで)も必置となっているので、最大限の定員で設置した場合は、グループホーム20名+短期入所5名で合計25名の「ミニ入所施設」とも言えそうな規模のものになります。入所施設等からの移行も想定されていて、地域生活支援の中核的な役割が期待されています。

■高齢者と障害者が一緒に暮らす共生型グループホーム 

 現在の制度では高齢福祉と障害福祉は法律が異なるため、グループホームも高齢者が生活するものと障害者のそれとは別でなくてはいけません。入口や共有スペースもそれぞれに必要になります。
 しかし富山には、高齢者と障害者が一緒に生活するグループホームがあります。元看護師の方たちが、地域って高齢者、障害者ときっちり分かれているんじゃなくて、いろいろな人がいるよね、ということで、高齢、障害、子どもとあらゆる利用者対象にデイサービスを始めました。それが大変好評だったため、富山県は法律の枠を取り外し、特区として多様な方が一緒に利用できる福祉サービスを行っています。共生社会の先駆けですね。この共生型グループホームは、宮城県にも多く見られます。
 実際に私が見学したグループホームは、1階は高齢者、2階は女性の障害者が住んでいます。入口も同じ、お料理も一緒に作ったりします。今まではお世話してもらうだけの障害者が、高齢者の車いすを押したり、お部屋を掃除してあげたり、支援する側になることができる。これが本人の自信にもつながっているとのことです。障害者が作業所に出かけるときには、「おばあちゃん行ってきます!」と手を振ったり、車いすで移動している高齢者には駆け寄ったりと、お互い名前は知らないかもしれないが、家族のような雰囲気があるとのことです。
 障害者と高齢者、多様な方々が一緒に暮らし関わりあうことで、本人たちの自信が芽生え、生活にメリハリが生まれるということを感じました。

執筆者プロフィール

渡部 伸

  • 1961年生、福島県会津若松市出身
  • 「親なきあと」相談室主宰
  • 東京都行政書士会世田谷支部所属
  • 2級ファイナンシャルプランニング技能士
  • 世田谷区区民成年後見人養成研修終了
  • 世田谷区手をつなぐ親の会会長
著書
障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」
障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本
(ともに主婦の友社刊)

渡部 伸
Scroll