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我が子の障害を誰に、どの範囲まで伝えるべきか?カミングアウトの範囲

お子さんが発達障害の診断を受けたあと、同居する家族には伝えてみたものの、「周囲にどこまで伝えるべきか?」という課題に悩む方は多いものです。

たとえば──

  • 担任の先生には?
  • 遠方に住む義母には?
  • 親戚には?
  • ママ友には?

「そんなこと、わざわざ言わなくてもいいのでは」「伝えることで偏見の目で見られてしまうのでは」「親しいママ友が離れてしまうのでは」

そんな不安がよぎるのも自然なことです。実際、発達障害のある子と似たような行動をする定型発達の子どもは多く、「個性が強いだけ」としてあえて黙っておこうとする選択もあります。

けれど、情報を共有しなければ、必要な支援につながらないこともあります。

特に保育園や幼稚園、学校では、障害者差別解消法に基づく「合理的配慮」が求められています。その前提となるのは、「配慮が必要であること」が相手に伝わっていることです。伝わっていれば、例えば、「睡眠障害があるため夜眠れるよう、昼寝は控えてほしい」など、医師の診断書を添えることで、理解を得られるケースもあります。

誰に、どこまで我が子の障害を伝えるか

伝える相手として考えられるのは、次のような人たちです。

  • 担任の先生
  • 家族(配偶者・祖父母・兄弟姉妹)
  • 本人
  • ママ友・知人
  • クラスメートやその保護者
  • 地域の関係者(近所のお店や習い事など)

中でも最優先したいのは、園や学校の担任です。園や学校は日中の多くの時間を過ごす場所であり、理解と連携が欠かせません。

また、幼児は3歳を過ぎると他者との違いに敏感になります。

「どうして○○くんだけ立ち歩いても怒られないの?」「僕がやったら叱られるのに、不公平だ!」

そんな疑問は子どもたちの間でも自然に生まれます。保護者から「特定の子だけ甘い」とクレームや指摘が入ることもあります。

だからこそ、担任が発達障害の特性を理解し、クラス全体に自然に伝わるよう工夫することが大切になります。

障害のある子への説明と周りの子への伝え方|子どもが納得しやすい言葉の工夫とは

将来、障害者雇用枠で働く場合、自分の障害を理解し、得手不得手を受け入れ、他人に助けを求められることが大切になります。そのためにも、小学校低学年のうちに本人に伝えておいたほうがいいと思います。

ただし、小さな子どもにとって「障害」という言葉は理解が難しいものです。「あなたが悪いわけではない」「人には得意なことと苦手なことがある」といった言葉で伝えると、理解しやすくなります。

他の園児がえこひいきと感じてクラス運営が難しくなっている場合はこのような伝え方が子どもたちにも伝わりやすいでしょう。

「走るのが速い子もいれば、そうでない子もいるよね。給食をたくさん食べられる子もいれば、ちょっと苦手な子もいる。あなたは動くのが得意で、じっと座っているのが少し苦手。みんなそれぞれ違うから、先生はそれに合わせて教えているんだよ。」

特定の子どもにだけ配慮があると不満を持つ子もいますが、子どもは皆、「認められたい」「注目されたい」という思いを持っています。そこで先生や親がそれぞれの子どもに違う形の光を当てることで、教室全体の空気がやわらぎます。

「給食をいつもきれいに食べるね」

「風邪をひかず元気に登園しているね」

「虫の名前をよく知っているね」

「お片付けが上手だね」

「お箸の持ち方がきれいだね」

こうした“見つける視点”は、家庭でも大切にしていった方がよいです。特に、障害のある子がいる家庭では、親の手がそちらに多く向いてしまいがち。きょうだい児の「良いところ」にもしっかり目を向けることが大切です。

家族・親戚・地域へ障害を伝える意味|沈黙よりも大切な“子どもの居場所づくり”

私の場合は子どもの障害を周囲に伝えたことによるデメリットはまったくありませんでした。むしろ、情報を共有することで周囲からの理解と協力が得られ、子ども自身が安心できる環境が整いました。

どんなに親が子どもの特性を理解していても、家庭内だけでその知識を抱えていては支援にはつながりません。

例えば父(祖父)の葬儀の時、笑ったり、走り回ったりすることを想定し、親戚ではないヘルパーさんに移動支援を使って親族席に同席してもらいました。親戚には2歳で診断を受けた時点で年賀状で伝えてあったので誰も不思議とは思わず、葬儀に私も気兼ねなく参加できました。

配偶者、祖父母、兄弟姉妹、園の先生、地域の人々……。多くの人に理解してもらうことが、子どもにとってもまた親にとっても“生きやすい場所”を広げていくのだと思います。周囲の目を気にして沈黙するよりも、「この子にとって心地よい居場所をつくる」ことを優先することが大切だと感じています。

 

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

著述家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。
自閉症スペクトラム支援士

『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』
『はずれ先生にあたったとき読む本』
『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな』
など著書多数

日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞作『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル
Voicy  https://voicy.jp/channel/4272
オフィシャルサイトURL https://tateishi-mitsuko.com/
テキトー母さんのすすめ(アメブロ) https://ameblo.jp/tateishi-mitsuko/

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