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運動会が嫌な子も運動会に参加させなくてはだめなのか?(前編)

運動会って普通、子どもや保護者にとってワクワクするイベントとされています。

てるてる坊主なんてぶら下げて、「明日、天気になあれ」。でも、運動会が嫌な子、特に発達障害や自閉症のある子にとってはなくなってほしいイベントなのかもしれません。

その子の親も「もうすぐ運動会か、嫌だな」と思ってしまいます。

親もつらい運動会

 自閉症の子を育てる知人から運動会の報告がありました。

「運動会、やはりかけっこは走りたくなかったようで……先生に、抱っこしながら走っていただきました 。リズムダンスも、全くやらず介助の先生に抱っこされるか、棒立ちでした(^◇^;)親子競技は楽しそうに参加できたのですが……。

 私と離れると不安定で、待機中も介助の先生についてもらい、絵本を読んだり教室に入らせてもらったりと自由に過ごさせてもらっていました。

 本人は楽しくなかった!と断言していたので、来年は参加させなくていいかな?と思います。 嫌なことは絶対やりたくない、という頑固な部分が強くなってきているので、難しいですね」

 ……つらかっただろうな。そこから逃げ出したかっただろうな、と思いました。

 息子も小学校の時の運動会の徒競走では、走る方向とは逆方向にトボトボ歩いて行ってしまったことがあります。それをいわゆる「普通」の子のママ達が「立石君、頑張って」と手を叩いて応援してくれました。

 でも、ひがみ根性のある私は「応援なんてしないで!本人はやりたくないから反対方向に歩いていっているんだから!」と心の中で叫びました。

 リレーにいたっては、息子がトボトボとしか走らないので完全に息子のいるチームは負けてしまい、通常級の子から「あいつが入ると負ける」と指をさされる始末でした。

運動会って何なのだろうか

 さて、今から28年も前の話。

 私が特別支援学校の実習生だったころ、実習先の学校には盲学校が隣接されていたのですが、教室の窓からは、運動場で目の見えない子供たちが運動会の練習をさせられている様子が見えました。種目は徒競走。先生が鈴を鳴らし、白杖もないまま子どもたちが恐怖の悲鳴を上げながらトボトボ歩いていました。

それを見て、私は指導教官に「なんでみんな怖がっていて楽しそうに見えないのに運動会させるんですか?」と質問しました。

 すると指導教官からは、「学習指導要領に書いてある行事だからやるんだ」と木で鼻をくくったような返事がきました。

 ああ、恒例だからやるんだ……。

 でも運動会ってどの国でもやってるんでしょうか?恒例行事だからやるんでしょうか?

 自由参加の運動会

 自由参加の運動会もあります。 

息子は支援級に通っていましたが不登校生徒のための学級も別に設置されていました。そこには世田谷区内の不登校児が籍を置いていました。
学校に来るのも、毎日くる子、行きたいときだけくる子、午後からくる子、 ずっと来てない子、など様々。もちろん運動会も自由参加です。

一日参加してもよいし、参加できる行事だけ参加してもよいし、観客席にいてもいいし、欠席してももちろんOK。

 全部の生徒にこれをしたら、運動会自体が成り立たないと思いますが、こういった自由参加型の運動会でみんなが楽しそうにしているを見ると、従来の皆が一律に強制参加させられる運動会の意義ってなんなのかな、と思ってしまいます。(後編に続きます) 

 

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

著述家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。
自閉症スペクトラム支援士

『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』
『はずれ先生にあたったとき読む本』
『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな』
など著書多数

日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞作『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル
Voicy  https://voicy.jp/channel/4272
オフィシャルサイトURL https://tateishi-mitsuko.com/
テキトー母さんのすすめ(アメブロ) https://ameblo.jp/tateishi-mitsuko/

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