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発達障害からくる不調を何とかしたい!心身改造計画は続く 続編

整形外科で理学療法士さんの施術を受けたりして、発達障害や精神疾患からくる不調に対するフィジカルアプローチを続けてきた私。先日からはさらに心身改造計画を進めようと、理学療法士さんの開業しているボディケア店に通い始めました。前編では、このボディケア店を見つけるまでの経緯と、ボディケア店の料金やサービス内容、施術前のカウンセリングについてお伝えしましたが、後編ではいよいよ施術についてお伝えします。

施術:全身をほぐして→ 正しく鍛える 

施術は、硬くなって縮むことで身体のバランスを崩していた部位を丁寧にほぐしてもらう(整形外科で言うところの徒手療法の内容)→ トレーニングの指導(整形外科で言うところの運動療法の内容)の順に進みます。こうすることで、正しいトレーニング姿勢でトレーニングができるようになるわけです。

ほぐし

この「ほぐし」が痛い!! 今までに医療者にされたことの中でトップレベルに痛いです。今までに最も痛かったのは、変形性膝関節症の痛みがあるときに整形外科で膝の軟骨部分に打たれた太い注射で、息が詰まり、ウーッと声が出て、痛み刺激で目には星、皮膚には変な汗が出てくるような感じだったのですが、この「ほぐし」はこの注射のレベルの痛みが長時間続きます。

「膝がめちゃくちゃ硬い! ふくらはぎも硬い! そりゃうまく動かせないわけだよ」と言いながら容赦なくゴリゴリやられ、ウーッと息を詰めていると「はい呼吸して! ヒッヒッフー!」と言われます。それで「ヒッヒッフー!! 産まれちゃうー!!」「産まれちゃうねえー笑」などとやりとりしながら大騒ぎすることになります。叫んだり暴れたりベッドをバシバシ叩いたりしながら耐え抜きます笑

これを耐え抜くと、動かなかったところが本当にちゃんと動くようになり、痛みもとれているので、呆然としながら「そりゃこれぐらいやられなきゃどうにもならなかったんだったら、今まで何しても良くならなかったわけだわ…」とつぶやいたら「そうだよー?」と満面の笑みで言われました笑

トレーニング指導

トレーニング指導は、正しい姿勢で、かつ他の部位で力みが出ないように(ついほかの部位が力んでしまうのを代償動作と言います)しながら、動かしたい筋肉だけをピンポイントで動かせるように指導を受けます。これが本当に繊細な作業。

最初は目的の筋肉の意識さえできていない状態なので、寝た姿勢で一部位ずつ「どこに力を入れるかの意識づけ」をする程度のゼロからのスタートです。この時点で急ぐとすぐに代償動作が出るし、目的の筋肉も刺激できず、再び痛みやアライメントの崩れが起きる、という以前と同じ悪循環につながってしまうので、ともかく急ぐなと言われます。しっかり力を入れてトレーニングらしいトレーニングができるまでには数ヶ月かかるとのこと。

きちんと私自身の筋肉を触ってもらいながら、「いまここに力みが入った、はい力抜いて! じゃあもう一回、こっちにこう動かすんだからね? 違う、今別の方向に動いた、やり直し。はいもう一回、あ、いいね! いまの感覚わかる? そうそう! そこに力入れて!」みたいにやってもらえます。

身体が変わっていく―代償動作の塊だった自分への気づき

私は、今回のボディケア店との出会いを通して、「自分がいかに代償動作の塊だったか」に気づきました。同時に、「脱力しながら目的の筋肉だけ使うとはこういうことなのか!」という、本当に大事な気づきを得ました。

これらの気づきは、そのへんのトレーニング動画を見たり、ジムに通ったりして自己流でやっていたのでは一生得られなかったであろうものです。整形外科のリハビリ室での理学療法もずいぶん受けましたが、ここまで丁寧に時間をかけてやってもらうことはできなかったので、仮に同様の気づきが起きるとしてももっとずっと期間がかかっただろうと思います。

的確なほぐしと大きな気づきを経て、私の身体はどんどん変わっていきました。

いつも左脚の外側に体重が逃げてしまい、歩くときも立っているときもフラフラと軸を探し続けて安定しなかった私。左脚外側部分が常にバリバリに凝っていたのですが、生まれて初めて安心して身体の中心に軸を落とし、左右の脚に均等に乗ってフラフラせずに立ったり歩いたりする感覚がわかるようになりました。膝の痛みと腰痛が友達だったのが、いつのまにかほとんど気にならないように。

また、体重はほとんど変わらないのですが、むくみにくくなったのか、顔がスッキリして健康的に見えるようになったと言われます。

生活の中で力みにすぐ気づいては緩める、偏っていたら正す、の繰り返しで、だんだん凝りづらく疲れづらくなってきたし、夜ぐっすり眠って朝すっきり起きられるようになりました。

お金はかかるし、どこからでも通えるわけではないけれど

お金は正直ずいぶんかかりますし、まだ全国的にも良いお店が少なく、どこからでも通えるわけではありません。でもこうしたボトルネックは、私がずっと受けてきたトラウマ治療にも同じものがあります。そして幸い、私の場合はなんとか手の届く環境があったのだから、まず私についてはそれでいいやと…

もとよりこの身体改造は、自分の発達障害からくるDCD(協調性運動障害)や、トラウマなどでガタガタになってしまった自分の心身の治療の総仕上げとして、大きなお金とエネルギーを振り絞る最後のプロジェクトと考えていたので、納得しています。

自分に合った治療に出会うまでの長い道のり

今つくづく、皆、自分に合った治療に出会うまでには長い時間と膨大なエネルギーがかかるんだな、と思っているところです。

トラウマ治療については最近、少数ながらオンラインのものが出てきていて、地方に住んでいても地理的な障害は減ってきていますが、さすがにボディケアは身体機能と身体感覚の話なので、地理的な条件には縛られざるをえない面があります(少し毛色の違うセラピー系の身体技法だと、オンラインクラスがあったりはしますが)。

ボディケアに通えない環境の場合はどうしたらいい?

ただ、今回理学療法士さんから得た情報として「整形外科のリハビリは『痛み』がなくても生活や動作の上で支障があることを伝えれば通い続けることができるはずだ」というものがあったので、共有しておきます。

私は以前のフィジカルアプローチ記事で「整形外科のリハビリは痛みがある間でないと通えない」と書きましたが、どうもそうとも限らないようです。今回の理学療法士さん曰く「それはかなり厳格な運用の印象があるな。たとえば『体幹/骨盤/膝 が不安定で生活動作に支障がある』といったことを言えば大丈夫なんじゃないかな、地域や病院にもよるのかもしれないけど」ということでした。

(※宇樹注 こちらは一説にすぎないので、問い合わせ時にそれぞれご確認ください。)

このため、理学療法士さんによる施術をじっくり受けたいけれど、残念ながら通える範囲にそうしたところがないとか、金額的にも保険診療の範囲でできることを探りたいという人は、まずは「◯◯(地域名) 整形外科 リハビリ室 徒手療法 運動療法」のキーワードで整形外科を探してアタックしてみる→ そこで自分の「代償動作」について保険診療内で、またはそれ以外でできることがないかどうか相談してみる、というのも一手かなと思います。

個人的な体験ではあるけれど…

私は長年、発達障害や精神疾患に伴う心身の不調に悩まされてきましたが、ボディケア、栄養改善、生活リズム改善など、フィジカル面も含めたさまざまな方法を試してきました。これらを継続する中で、最近は急に、確実な回復の実感を持てるようになりました。

個人的な体験(n=1)にすぎない部分もありますが、どなたかのお役に立てることを願って、これからも自分が試して良かったと思えることをシェアしていければと考えています。

執筆者プロフィール

宇樹義子(そらき よしこ)

1980年生まれ。早稲田大学卒。ASD、複雑性PTSD。
2015年に発達障害当事者としての活動を始める。LITALICO発達ナビなどで連載開始。 2024年、日本語教師としても活動を開始。複数メディアで活動を続けながら、次の発信を模索中。
現在、発達支援×日本語支援の分野に興味津々。

【著書】
#発達系女子 の明るい人生計画
―ひとりぼっちの発達障害女性、いきなり結婚してみました

80年生まれ、佐藤愛 ―女の人生、ある発達障害者の場合

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