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職場になじめない、仕事が続かない! 発達障害の私の、仕事での苦労

発達障害(ASD)があり、診断が遅れたことから二次障害を発症した私。仕事場で深刻な挫折を経験することになります。

今回は、私が20代前半、発達障害が未発覚なままいろいろな会社を転々としていた頃の苦労についてお伝えします。

■職場になじめない!

新卒で入った会社はいわゆるブラック企業で、体力的に続かず3ヶ月で辞めてしまいました。その後、23歳で始めたのが某団体の契約事務職員。

■電話対応がうまくできない

当然のように任された電話対応ですが、自分にとっては知りもしない人が「◯◯だけど、✕✕さんいる?」みたいに横柄に電話をかけてくるのでとてもストレスでした。

手元の仕事が中断させられたことにイライラしながら「どちらの◯◯さんでしょうか」と丁寧に聞き返したら失礼だと怒られ、「新入りですし知らないものは知りませんが?」と反論してさらに怒られ… というようなことを繰り返していました。

■曖昧な指示が理解できない。先輩と喧嘩する

当面やる作業がなかったあるとき。先輩に「何かやることありますか」と訊いたら「やるべきことを自分で考えるのも仕事のうち」と言われたので困りました。考えても当面やるべきことが思いつきません。「では時間のあるときにできることを」と、私はバケツと雑巾を持ち出して、それほど汚れてもいない職場のドアを磨き始めました。

先輩が飛んできて何やってるんだと怒るので「ご指示どおりにしただけですが?」と返し、それをさらに怒られます。私にとってはまったくわけがわかりません。

その他、私が袖のヒラヒラした服を着ていたら「職場にそういう装飾的な服はちょっと遠慮してほしい」と言うので、「職務規定では服装は自由なはずですよね。何か制限があるのなら職務規定に書いておいていただけないと困ります」と反論して、やはり怒られるのでした。

■発達障害が発覚していれば…

こんな感じで、私の仕事生活は混乱と怒りと無力感に満ちたものでした。もし当時すでに私の発達障害が発覚していて、上記の言動は発達障害の特性からくるものだと職場で共有されていたなら、私も周囲もこれほどまでに苦労することはなかっただろうにと思います。

■うつ病と診断され休職、そのまま退職

私は仕事に行こうとすると下痢を起こすようになり、ろくに食事がとれなくなりました。同時に強い死にたい気持ちや倦怠感に襲われてぽつぽつ仕事を休むように。近所の町医者に行くとうつ病と診断され、しばらく休職することになりました。

一度復職しましたが、毎日死にたいと思い、気を緩めると涙があふれてくるような中、自分を奮い立たせて仕事場に向かう状態が続きます。すぐにまた出勤できなくなり再び休職、そのまま契約は打ち切りになりました。

■仕事が続かない! ひきこもりへ

第二新卒の時期は頑張って一人暮らしをしていたのですが、契約打ち切りとともに実家に戻ることになりました。

実家にいると、同じく精神疾患を抱える母親から精神的加害を受けるので、なんとかして家を出たかった私。体調不良を押して必死でいろいろな仕事やアルバイトに挑戦しました。しかし、どこに行っても何かしらトラブルや体調不良を起こしてしまう。いつも200%の力で頑張るのに、ある朝仕事に行けなくなってそのまま辞める、ということを繰り返しました。

そんなこんなで体調も精神状態もどんどん悪化。20代の半分以上は、家事の手伝いや母の世話でなんとか外出するほかはほぼひきこもって過ごすことになりました。

■自分が楽にいられる働き方をゆっくり探して

結局私は、いまの夫に実家から助け出され、安心して暮らせる環境に来られたことで、回復の道を歩めるようになりました。

発達障害の診断を受け、服薬し、さまざまな支援とつながりながら情報収集していく中で初めて、「自分がもっとも楽にいられる働き方を追求するのが大事だ」と思えるようになりました。

在宅でフリーランスとして仕事を始められるまでに4年ほどの療養が必要でしたが、私が発達障害の診断を受けないまま、長年生きてきたことによる深刻な心身の傷つきから回復するには、それぐらいの時間が必要だったのだと思います。

発達障害を持って生まれるとは、定型発達の人よりも暮らす環境に繊細な調整が必要ということ。それは決して恥ずかしいことではありません。社会のしくみが発達障害者に合わせて作られていないから、発達障害者にとって過ごしづらいというだけなのです。

就労移行支援事業所から障害者雇用を目指す、障害年金など各種の福祉手当を受け取る、私のように自分の強みを探して在宅の楽な環境で作業できる仕事を探すなど、発達障害者の働き方・生き方にはいろいろなアプローチがあります。

キャリアに悩む発達障害者の方には、ゆっくり時間と手間をかけて、自分がいちばん楽にいられる働き方・生き方を探してみてほしいと思います。

 

執筆者プロフィール

宇樹義子(そらき よしこ)

1980年生まれ、千葉県出身、早稲田大学卒。発達障害/トラウマ性疾患当事者。 高機能自閉症(ASD)と複雑性PTSDを抱える。2023年現在、日本語教師を目指して言語学を勉強中。最愛の夫と猫(♀)と暮らしている。

【著書】
#発達系女子 の明るい人生計画―ひとりぼっちの発達障害女性、いきなり結婚してみました
80年生まれ、佐藤愛 ―女の人生、ある発達障害者の場合

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