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合理的配慮が法的義務化!考え方と職場における実践事例を解説します。

令和3年の障害者差別解消法改正により、2024年4月1日から事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が法的義務化されました。この記事では、合理的配慮とは何かその考え方を解説するとともに、実際に発達障害がありながら働いている方々にヒアリングした、合理的配慮の実践事例を紹介していきます。

合理的配慮ってなに?

合理的配慮とは、障害者が社会の中で出会う、困りごと・障壁を取り除くための調整や変更のことです。2006年に国連で採択された障害者権利条約では「障害者が他の者と平等にすべての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないものをいう。」と定義されています。

ここで大切なのは2つ。①発達障害を含む障害者は、配慮を求めることができるということ。②配慮が学校や職場のバランスを崩したり過度の負担を強いるものではないこと。配慮する側も配慮を受ける側も、お互いが気持ちよく働くための配慮が職場での「合理的配慮」といえます。

職場における合理的配慮ー実践において大切なこと2つ

実際に合理的配慮を実践していくにあたって大切なことは以下の2つです。

1.周囲が理解を示すこと

合理的配慮を受けるためには、配慮する側に最低限の理解がなければなりません。当事者から合理的配慮の依頼があった場合に、頭ごなしに「それは受け入れられない」と否定してはなりません。どの範囲までであれば負担にならずに配慮することができるかを提示して、お互いに歩み寄ることが大切です。

2.周囲が負担にならないこと

職場における合理的配慮の大前提となるのは、「当事者と企業がお互いに気持ちよく働くための配慮である」ことです。なんでもかんでもやって欲しいことを求めるものではありません。

当事者が求めるものが企業の負担になるかどうかは、企業ごとに異なります。障害者雇用であれば、就職活動の際に事前にどんな配慮が必要なのか整理し、それを理解してくれる企業の求人に応募することが大切です。

働いている途中で発達障害の診断がおり、新たに職場に合理的配慮を求める場合にも、一方的な依頼ではなく、企業側との話し合いの上で配慮事項を決めていくことが大切です。

職場における合理的配慮ー実践事例5つ

実際に働いている人がどんな合理的配慮をうけているか具体的な事例を知りたく、障害者雇用で働いている人30名にヒアリングを行いました。多くの方が様々な合理的配慮の元で働かれていました。その中でも多かった回答から、様々な職場で広く転用できそうな合理的配慮の実践事例を紹介します。

事例1.時短勤務

発達障害の人は「疲れを自覚しにくい」特性がある人も多くいます。中には仕事を引き受けすぎて、疲労が重なり体調を崩してしまう人もいます。こちらを解決する合理的配慮として「勤務時間を制限すること」「仕事量をセーブすること」を求める事例です。

いきなり長時間勤務ではなく、例えば「1日3時間」といったような時短勤務からスタートして、慣れてきたら勤務時間を増やしていくこともできる働き方も企業の理解があれば可能です。

事例2.担当者の固定化

発達障害がある人によっては、コミュニケーションに苦手を感じる人や、指示系統がばらばらで都度違う人から指示を受けると混乱してしまう人がいます。そこで求める合理的配慮が担当者の固定化です。

指示を出す担当者を固定してもらうことで、混乱を防ぎます。信頼関係が必要になるため、理解がある人を担当者にしてもらうことも重要です。

事例3.作業の見える化

発達障害の「スケジュールの見通しが立たないと不安」「口頭での指示を正しく理解するのが難しい特性」をカバーするための合理的配慮は、作業スケジュールの見える化です。誰がどの作業をどの時間にするのかを見える化します。

企業側の負担もあるかもしれないので、どの範囲までスケジュールを見える化するかは、話し合いの上で決めていけると、より良い関係を築けます。

事例4.体調に合わせた業務割り当て

発達障害の人は、体調管理が苦手です。自律神経が弱く体調を崩してしまいがち。そこで企業に求める合理的配慮は、体調に合わせて柔軟に業務を選べるようにすること。具体的には企業に業務の切り出し方を変えてもらう方法です。

業務を自由に選べるというよりは、雇用主がやって欲しい仕事をするのがベースの考えになります。

事例5.クールダウン

発達障害の人は疲れやすい特性もあります。そこで必要になるのがクールダウンです。一人になって休む時間を確保することを合理的配慮として企業に求めます。長時間休むわけではなく、あくまでもクールダウンできる5分ほどの小休憩になります。

クールダウンは、次に取り掛かる作業をより効率的にストレスなく遂行する目的で行われる必要があります。余談になりますが、合理的配慮としてクールダウンを企業に求め、配慮してもらっている当事者は非常に多くいます。

上記に挙げた例以外にも、指示を口頭からメールにする、電話対応はしないでいいようにしてもらう、怒らないコミュニケーションをとってもらう、といった事例も回答にはありました。

職場における合理的配慮ーまとめ

企業側も当事者側も気を付けたいのは、合理的配慮とわがままの違いです。合理的配慮はお互いのことを考えた歩み寄りであり「会社のために業務を円滑にすすめる」という目的が双方に共通している一方で、わがままは自分のことしか考えていない要望もしくは正当な理由なき依頼の拒否といえます。

合理的配慮をすることがわがままに屈することのように感じ抵抗感があったり、単なるイメージから負担が大きく感じている企業がまだまだ多く見られます。しかしそういう企業には、先述した合理的配慮の依頼が、本当に企業に負担を生じさせるものなのかを今一度考えてみて欲しいと思っています。合理的配慮は何も特別なものではありません。仕事の中でちょっとだけ工夫してもらえるだけで良いのです。

合理的配慮を実現するためには、企業と障害者がお互い気持ちよく働けるように、お互い歩み寄ることが何より大切です。企業が合理的配慮に理解を示し実践していくことが、閉塞感があると言われることの多いこの日本社会を、風通しよくひらかれたものにしていくきっかけになることを望んでいます。

執筆者プロフィール

岩切健一郎(いわきり けんいちろう)

発達障害専門FP。ファイナンシャルプランニング技能士1級。
1986年生まれ、宮崎県宮崎市出身。
自身もADHDがあり、お金に苦労した経験から発達障害専門FPとして活動。
親亡きあとのマネープラン、発達障害当事者のライフプランを
年間100件以上作成。
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