障害年金を請求するための3つの要件

はじめまして。社会保険労務士の松山純子です。

コラムを読んでくださりありがとうございます。読んでくださっている方の中には、お金のこと、仕事のことなど、様々な不安や悩みを抱えながら生活されていらっしゃる方、また、ご家族に障害がある方がいて、心配されている方もいらっしゃることと思います。

皆さまの不安や悩みが少しでも軽くなることを願いながら障害年金についてお話しいたします。

お話の前に、押さえてきたいことがあります。

障害年金のことを知らなくても「障害者手帳」は聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。障害者手帳は、障害年金とは別ものです。

そのため、障害年金の手続きに障害者手帳の有無は問いません。

それでは進めていきます。

目次

1.障害年金制度について

2.障害年金の種類

3.障害年金を受給するための3要件

 

1.障害年金制度について

障害年金のこと、ご存じですか?

私たちは国民年金・厚生年金保険料を支払っています。年金というと高齢になったときに受け取る「老齢年金」を思い浮かべる人が多いですが、年金保険料には老齢年金のほかに、病気や怪我によって生活や仕事に支障がでたときに支給される「障害年金」と、家族が亡くなったときに支給される「遺族年金」も含まれています。

これらの年金は若くても受け取ることができます。

障害年金は「障害のために仕事や日常生活に支障がある場合に、生活費の一部を国が保障してくれる制度」で、公的年金の1つです。

2.障害年金の種類

障害年金には、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があり、国民年金では「障害基礎年金」、厚生年金保険では「障害厚生年金」といいます。

 

障害基礎年金と障害厚生年金のどちらの対象になるかは、その障害の原因となった病気や怪我の初診日に、どの制度に加入していたかによって決まります。

たとえば、会社に入り厚生年金保険加入中に初診日がある場合は、障害厚生年金となります。

国が運営する年金制度は「国民年金」と「厚生年金保険」の2つあります。国民年金は、自営業や学生も含めて20歳になったら全ての人が加入する制度で、会社員や公務員等は、さらに厚生年金保険にも加入します。

3.障害年金を受給するための3要件

障害年金を受給するには、下記3つの要件をすべて満たす必要があります。

要件1 初診日の確定
要件2 保険料納付要件
要件3 障害状態に該当

 

(1)要件1 初診日の確定

1つ目の要件は「初診日の確定」です。

初診日とは「障害の原因となった病気や怪我により初めて医師等の診療を受けた日」のことで、初診日に国民年金に加入していれば「障害基礎年金」、さらに厚生年金保険に加入していれば「障害厚生年金」の対象となります。

①先天性の知的障害の初診日
先天性の知的障害(精神遅滞)の初診日は「出生日」です。

②先天性の知的障害以外の初診日
先天性の知的障害以外の初診日は、原則「障害の原因となった傷病で初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」になります。

「初めて診療を受けた日」は、間違いやすいので、注意が必要です。たとえば精神疾患の場合は、体調が悪いと感じて内科にかかり安定剤を処方されたり、幻聴を訴えて耳鼻科にかかったりすることがあります。原因が分からなくて転院を繰り返したあと、精神科にかかることも多くあります。

この場合、初診日は精神科にかかった日ではなくて、内科や耳鼻科にかかった日が初診日となることもあります。

前の傷病がなかったならば後の傷病は起こらなかっただろうと認められる場合は「相当因果関係あり」として、前後の傷病は「同一傷病」と取り扱うこととされています。

③発達障害の初診日

発達障害の初診日については注意が必要です。平成23年6月30日に発達障害にかかる障害認定基準が新設され、初診日について下記のように取り扱われることになりました。

「発達障害は、通常低年齢で発症する疾患であるが、知的障害を伴わない者が発達障害の症状により、初めて受診した日が20歳以降であった場合は、当該受診日を初診日とする」

 

そのため、20歳以降に初めて医師の診断を受けた場合は、その日が初診日になります。

事例:小さいころよく泣く子どもだった。泣くと床にひっくり返って泣くような、自分の願いを優先する傾向になった。友達の輪に入って複数人で遊ぶことはあまりなく、一人でいることが多かった。

小学生のころは、授業中は一人で絵を描いたり、本を見たりしていた。文章を読むときには指を添えていないと読み飛ばしたり、忘れ物も多かった。

 

中学生のころは、朝の起床や支度のときに「まだ時間がある」と見積もり、遅刻していた。引き続き授業は集中して聞くことができなかった。

 

高校生のころから、日中に過度の眠気が出現しはじめ、主体的な活動中には寝ないがそれ以外は、殆ど寝てしまう。自分では寝ないように頑張るが、自分の意識ではどうすることもできないほどの眠気だった。授業中の過度の眠気によって授業を聞くことができない。

 

母親に勧められて、17歳のときにメンタルクリニックを受診する。初診日は17歳となる。

 

(2)要件2 保険料納付要件

2つ目の要件は「保険料納付要件」です。初診日の前日において保険料を納めていることが要件となります。残念なことに、この要件を満たせず受給を断念する人が少なくないので、きちんと納付するか、納付することが難しい場合は免除手続きをしておくことが大切です。なお、20歳前に初診日がある場合は「保険料納付要件」を満たす必要はありません。

初診日が確定したら、次に保険料を納付または免除しているかどうかを確認します。

要件としては、初診日の前日において、下記①または②を満たす必要があります。

①初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、

保険料が納付または免除されていること

②初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

かつ初診日において65歳未満であること
*初診日が令和8年3月31日までの特例

保険料納付要件を満たせずに、障害年金をあきらめざるを得ない方が多くいらっしゃいます。
何か起きたとき、自分を守ってくれる大切な制度なので、納付するかまたは免除もありますので、住所地の役所に相談してみてください。

(3)要件3 障害状態に該当

3つ目の要件は「障害状態に該当」していることです。
初診日から起算して1年6カ月経過した日を「障害認定日」といい、その時点または原則65歳の前日までに障害状態であるか「国民年金・厚生年金保険障害認定基準」により判断されます。

なお、20歳前に初診日があるときは、下記①②のいずれかが障害認定日になります。

①初診日から1年6カ月経過した日が20歳の誕生日の前日より前であれば、20歳の誕生日の前日

②初診日から1年6カ月経過した日が20歳の誕生日の前日より後の場合は、1年6カ月経過した日

 

障害基礎年金は1級と2級、障害厚生年金は1級から3級と障害手当金があります。

1級は他人の介助がなければ自分の用を済ませることがほとんどできない状態。
2級は日常生活に著しい支障があるが必ずしも他人の助けを借りる必要はない程度の状態。
3級は傷病が治っておらず労働に制限がある状態で、障害手当金は傷病が治ったものの3級よりも軽い程度の障害が残っている場合に支給されます。

 

障害の程度は「日常生活や仕事にどの程度支障があるか」をポイントに区分されますが、例外的な取扱いもありますので、詳しくはお近くの年金事務所や障害年金に詳しい社会保険労務士にお問い合わせされると安心です。

 

執筆者プロフィール

松山純子(まつやま じゅんこ)

・肩書
代表社員
・専門分野
障害年金、労務管理など社労士業務全般
・略歴
YORISOU社会保険労務士法人代表社員。卒業後、700名のうち約半数が障害者という福祉施設(身体・知的・精神)で人事総務およびケースワーカーとして10年以上勤務。障害があっても働きやすい環境整備と周囲の理解があれば就労は可能であること、社会とのつながりが人を元気にしてくれることを学ぶ。 平成18年松山純子社会保険労務士事務所を開業。 平成29年10月に法人化を行い、YORISOU社会保険労務士法人となる。

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