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「あなたの子どもさんには、障害があります」って言われたら

このコラムを読んで下さっている障害児者のお父さん、お母さんの多くは、子育てのどこかのタイミングで、こう言われたことがあるのではないでしょうか。
それを聞いた時あなたは、どう思われましたか?

頭が真っ白になりましたか?

なぜ?どうして私の子が?って、絶望的な気持ちになりましたか?

いやいや、そうと聞いて自分のしつけのせいではなかったと、内心ホッとしましたか?

現在17歳になる我が家の長女は言葉が話せず字も書けないので、うちの子として生まれてきて良かったと思ってくれているかどうかは、正直私にはわかりません。ですが、そんな長女と、6歳離れた天真爛漫な次女のお陰で、今のところ我が家は(少なくとも私自身は)めちゃくちゃ幸せです。いやもちろん、つらいことも悲しいことも心配なことも、毎日たくさん、あるけれど…。それも含めてとても幸せ!と心から断言できるのは、タイミングは人それぞれでも、【あるがまま】を受け入れることができたからだろうと思います。

第1回目は、そんな私がどのように、娘の障害を受け入れたのかをお伝えしたいと思います。それは、私の子育ての考え方の根っこになっている部分であり、私の今の活動に繋がる大切な想いです。

「違う景色を見せてくれる」

我が家の長女は生後約2週間のときに、入院先の発達小児科の主治医から、「あなたの子どもさんには、障害があります」と告げられました。病名は“ソトス症候群”。
「5番染色体が一部欠損しています。おそらくは知的障害を伴うでしょうが、それがどの程度かは個人差があるので、今はまだわかりません。歩けるようになるかどうかもわかりません。心臓や腎臓などの内臓疾患を伴う場合もあります。」と…。

長女は誕生直後から健康状態が非常に悪く、小さな体にたくさんの管や線に繋がれ、子ども専門病院に緊急搬送されました。
あの子は死んでしまうのではないか。一度も家に帰れずに、このまま天国に旅立ってしまうのではないか…。命さえ助けて貰えるのなら、どんなことでもしますからと、思いつく限りの神様や仏様に毎日祈り続けていましたから、冒頭の通り、長女に障害があると言われても、全く衝撃を受けませんでした。「そっか、この子は障害があるのか…」と頭の中で繰り返し、次に浮かんだのはこんなこと。
「ってことは、この子は幼稚園にも行かないかもしれない。学校も違うところに通うのかな?中学、高校、大学と進んで社会人…って、私が歩んできた道とは、違う世界を生きていくのかな?だとしたらこの子は私に、私が見たこともないような、全く違う景色を見せてくれるんだ…」
一瞬でそんなことを考えました。

だから私の“障害の受容”は、多くの方とは少し違っていたかもしれません。【健康で“普通”であることが当たり前】との価値観で、私の母親としての人生はスタートしなかったからでしょう。つらいこと、悲しいこと、悩みごと、心配ごと、たくさんあるには違いないですが、それは、障害児ではない次女の子育てと、気持ちの上では全く何も変わりません。悩みや心配の種類が、違うだけなのです。

そして、私が想像していた通り、長女は実に刺激的で、喜びに溢れる人生を歩ませてくれています。文字通り、違う景色を見せてくれています。なんでも良い風に捉えることができたなら、たちまち世界は虹色に輝きだします。

全5回のこのコラムでは、私が見聞きし経験した“障害児子育てあるある”なエピソードをご紹介したいと思います。そして、特にまだ若いお父さん、お母さんたちが、子どもさんの将来を想像し、少しでも笑顔になってくれたら嬉しいです。

執筆者プロフィール

藤井奈緒

『親心の記録®』公認アンバサダー

一般社団法人「親なきあと」相談室 関西ネットワーク 代表理事

大阪府八尾市在住。八尾市教育委員会 教育委員(2019年12月~)
重度の知的障がい者である長女(18才)と、健常児の次女(12才)の母。
『親なきあと』次女一人に、長女の世話を引き受けさせることになるかもしれない状況に危機感を抱き、法的な備えについての勉強を始めました。
その後、自分と同じように『親なきあと』を心配している障がい者家族が大勢いる事を知り、講演活動等を通じて、将来に向けて備えることの重要性を訴えています。
また、メンバー全員が障がい者の親きょうだいので、尚且つ、法律や福祉、マネープランニングなどの各分野の専門家と共に【一般社団法人『親なきあと』相談室 関西ネットワーク】を設立し、個別相談やセミナーを通じて、障がい者の家族が安心して、笑顔で暮らしていくための情報提供を行っています。
また、一般的な『終活』をテーマとした講演活動も行っております。

~所持資格~
・終活カウンセラー1級®
・相続診断士®
・家族信託コーディネーター®
・メンタルヘルスマネジメントⅡ種
その他、福祉関連公的資格 多数

~講演実績~(月間平均10~12講演 ※2020年)
・支援学校PTA勉強会
・障害者団体保護者向け勉強会
・障害者施設職員研修       その他多数

~メディア実績~【テレビ・新聞・ラジオ・雑誌】
・NHK総合『ニュースほっとかんさい』特集
・産経新聞・読売新聞・朝日新聞・毎日新聞医療プレミアム
・文化時報・シニアガイド終活探訪記
・インターネットラジオ、各地の地域FM、・KBS京都ラジオ 他

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