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制度を使えばここまでできる~障害者の一人暮らしを支える福祉サービスと住まい

2026.06.04 2026.6.4

「一人暮らしなんて無理」と思う前に~知的障害のある子の自立を支える制度の話では、どのような住まいや暮らし方で生活がしたいのか、それを決めるときに優先するべきなのは、本人の希望ではないかということ、また、はじめから「一人暮らしなんてできない」と決めつけるのではなく、公的な制度やサポートをうまく活用することで、その希望がかなえられる場合もあり、どうすれば実現できるかを一緒に探っていくことが重要ではないかと書きました。

では、具体的にどのような制度を使えば、一人ひとりの希望に沿った暮らしを実現できるのでしょうか。ここでは、自立を支える代表的な選択を3つに分けて紹介していきます。

居宅介護、訪問看護、重度訪問介護でできること

居宅介護、訪問看護、重度訪問介護は、いずれも自宅で日常生活を送る障害者を支える「訪問サービス」です。それぞれの対象者やサービス内容、利用目的をまとめました。

居宅介護:

居宅介護は、日常生活を営むのがたいへんな障害者等を対象に、安心して自宅で生活が送れるように提供される、生活の基本サービスです。具体的な内容としては、居宅において、ホームヘルパーによって以下のようなサービスが提供されます。

身体介護:

入浴、排せつ、食事等の介助

家事援助:

調理、洗濯、掃除や、生活必需品の買い物などの援助
通院等介助:病院等の通院の際の付き添い

そのほかにも、通院時の車両への乗降介助や、生活全般にわたる援助をおこないます。

訪問介護:

訪問看護は、看護師などの専門家が自宅へ訪問し、医療的ケアや日常生活の支援をおこなうことで、本人の自立した生活を支えるものです。支援内容としては、病状の観察と健康管理、医師の指示に基づく医療処置、日常生活の支援、介護者である家族への支援、関係機関との連携などがあります。また、障害特性に応じて、下記のような支援をおこないます。

  • 精神障害の場合:地域社会で孤立しがちな人の良き理解者となり、対人関係の悩みや社会生活への不安をやわらげ、症状の再発を防ぎ安定した日常生活を送れるよう支援
  • 知的障害の場合:本人の特性やこだわりを深く理解し、わかりやすい言葉や絵カードなどを用いてコミュニケーションを取りながら、健康管理、服薬のチェック、金銭管理、対人関係スキルの向上などを支援

重度訪問介護:

重度訪問介護は、以前は身体障害のある方のみが対象でしたが、2014年から、重度の知的障害または精神障害により行動上著しい困難があり、常時介護を要する障害者も利用対象となりました。ヘルパーが自宅を訪問し、入浴、排せつ、食事などの介護、調理、洗濯、掃除などの家事、相談や助言など、生活全般にわたる援助や、外出の際の介護など、総合的な支援をおこないます。日中活動以外の時間は常時ヘルパーが必要となる場合が多いので、長時間の支援となります。

本人のそばにずっといてくれて、見守ってもらえるという非常に心強い支援ですが、自治体が長時間のサービス利用を認めてくれるか、担ってくれる事業者があるかなどのハードルがあります。希望される場合は、相談支援事業者にお住まいの地域の状況などを問い合わせてみてください。

自立生活援助の支援

自立生活援助は、2018年から始まった比較的新しい福祉サービスです。文字通り障害者が地域で自立して生活することを援助するもので、一人暮らしをしている障害者を定期的に訪問し、食事や掃除、洗濯など生活面の課題や経済面、健康面、近隣との関係などについて問題がないかどうかを確認し、必要な助言や支援機関との連絡調整などをおこなうものです。また、利用者からの相談や依頼があった場合には、訪問、電話、メール等による対応も随時おこないます。

サービス開始当初は、利用期間が原則1年間(市区町村の審査会が必要と認めた場合は1回に限り最長1年の延長可)とされていました。しかし、その後の運用変更により、現在は延長回数の制限がなくなっています。

一人暮らしの障害者の力になってくれる制度なのですが、始まって日が浅いこともあり、まだ事業者数が限られているようです。もっと多くの事業者が参入することを期待しています。

居住サポート事業という福祉サービス

賃貸住宅での一人暮らしを希望していても、障害がある、保証人がいないなどの理由で、なかなか住まいが見つからないという方に対し、円滑な賃貸契約と地域生活の安定を支援するのが居住サポート事業です。以下のような包括的なサービスをおこないます。

物件のあっせん・紹介: 協力店(不動産業者)への紹介

入居手続きの支援: 賃貸借契約の立ち会い、契約内容のていねいな説明
保証人の調整: 保証人が必要な場合に、保証人や保証会社を利用するための支援
家主への相談・助言: 高齢者や障害者が入居する不安を解消する調整
入居後のサポート: 家主や入居者からの相談対応、緊急時の対応、生活支援(見守り、安否確認)

残置物処理: 退去時の荷物撤去に関する支援

このサービスは、障害者総合支援法の地域生活支援事業という区分に含まれるもので、地域によって実施内容や対象が異なります。利用を希望する場合は、市区町村の福祉の窓口や相談支援事業者に相談してみてください。

たくさんある一人暮らしの相談窓口

一人暮らしについて相談できる場所はたくさんあります。福祉サービスの利用については計画相談事業者、仕事や生活面については障害者就業・生活支援センター(なかぽつ)、入所施設や病院を出て地域で生活する場合の地域移行支援やトラブルが起きたときなどの緊急時に対応してもらえる地域定着支援、その他、自治体によっては独自の相談機関があるところもあります。

また、お金の管理の仕組みについては、成年後見制度や、社会福祉協議会が運営している日常生活自立支援事業を利用している一人暮らしの人も多くいらっしゃいます。この2つについては別記事で取り上げます。

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*身体障害のみまたは精神障害のみの場合は現在就労されていることがご加入の条件です。
また、精神疾患は保障の対象外です。

執筆者プロフィール

渡部伸

1961年生、福島県会津若松市出身
「親なきあと」相談室主宰
東京都社会保険労務士会所属。
東京都行政書士会世田谷支部所属。
2級ファイナンシャルプランニング技能士。
世田谷区区民成年後見人養成研修終了。
世田谷区手をつなぐ親の会会長。

主な著書
障害のある子の「親なきあと」~「親あるあいだ」の準備
障害のある子の住まいと暮らし
        (ともに主婦の友社)
まんがと図解でわかる障害のある子の将来のお金と生活(自由国民社)
障害のある子が安心して暮らすために~知っておきたいお金・福祉・くらしの仕組みと制度(合同出版)

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