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障害のある人が働く場所を選ぶとき、大切にしたいこと

2026.07.09 2026.7.9

少し前に、大阪のある福祉事業所が閉鎖になったという報道がありました。障害のある人が働く場所をめぐって、いろいろな意見が交わされているのを目にします。その報道を見て、私がいちばん気になったのは、むずかしい制度の話ではありませんでした。

「そこで毎日働いていた人たちは、今どうしているんだろう」

そのことばかりが、頭から離れませんでした。私自身、発達障害や精神疾患を抱える当事者として、福祉サービスにお世話になってきました。今はピアサポーター(同じ立場の仲間による支え合いをする人)として働いています。

今日は、障害のある人が働く場所を選ぶとき、私が大切にしたいと思っていることを、当事者として、そしてご家族のことも思いながら、書いてみたいと思います。

働くことが、私の心を支えてくれた

私はこれまで、いろいろな仕事をしてきました。花屋、ケーキ屋、カフェ、デザインの仕事、オリジナル雑貨の制作。それでも、その一つひとつが、今の私をつくっています。私が働きたいと思ういちばんの理由は、お金のためではありません。働いていると、精神的に安定するからです。働いていると、落ち込んだり考え込んだりする時間が短くてすみます。人と接することで、ひとりなら抱え込んでしまうことが、少し軽くなります。「行く場所がある」「自分が必要とされている」と感じられること。それが私にとって、どれほど大きな支えになってきたか分かりません。

だからこそ、働く場所を失うことは、収入だけでなく、心の支えそのものを失うことにもなりかねません。報道の奥にいる方たちのことを思うと、心が痛みます。

働く場所は、評判や数字ではなく「自分に合うかどうか」を最優先する

障害のある人の働き方には、いろいろな形があります。一般枠で働くほか、特例子会社での就労、就労継続支援A型事業所(雇用契約を結んで働く福祉サービス)、就労継続支援B型事業所(雇用契約を結ばず、体調に合わせて働く福祉サービス)など、選択肢はひとつではありません。

働く場所を選ぶとき、つい世間の評判や人気が気になることがあります。でも、人気がある場所が、自分に合うとは限りません。逆に、目立たない場所でも、自分のペースで穏やかに働ける場所はあります。

私がピアサポーターとして、いつも大切にしていることがあります。それは、目の前の人が「自分で納得して、自分のペースで働けているか」ということです。同じ障害の名前がついていても、合う働き方は人それぞれ違います。

私自身、同じASD(自閉スペクトラム症)や不安障害の方とお話ししていて、「そういう感じ方もあるんだ」と驚くことがよくあります。だから、誰かにとっての正解が、自分の正解とは限らないのです。ほかの人と比べて焦らなくて大丈夫です。自分に合うかどうかを、いちばんの物差しにしていいのだと思います。

家族は先回りしすぎないで

このコラムを、ご家族の立場で読んでくださっている方もいらっしゃると思います。働く場所のことで、心配されている方も多いのではないでしょうか。ただ、働く場所を決めるとき、いちばん大切にしたいのは、本人の「これからどうしたいか」という気持ちです。心配のあまり先回りしすぎず、本人の希望を一緒に確かめながら考えていけたら、本人もきっと安心できます。そして、ご家族だけで抱え込まなくて大丈夫。後述しますが、相談機関をうまく頼っていただきたいです。

自分に合う場所を探すヒント

では、どんなふうに働く場所と向き合えばいいのでしょうか。正解があるわけではありませんが、本人とご家族で一緒に確かめてみるとよい視点を、いくつか書いてみます。

  1.  本人の体調や特性に合った働き方が、無理なくできそうか
  2.  本人の希望や「これからどうしたいか」が、尊重されていると感じられるか
  3. 不安なとき、相談できる人や場所があるか

どれも、「良い事業所の見分け方」のような断定ではありません。迷ったときに、そっと一緒に考えてみる視点として、持っておいてもらえたら嬉しいです。

去年、私は1ヶ月の休職をしました。無理を重ねて、心も体も限界が来ていたのです。休んでいる間は、家の片付けをしたり、昔からの友達に会ったりして過ごしました。そうしているうちに、だんだん心が回復していきました。

休んでみて分かったのは、働き続けることだけが、すべてではないということでした。無理して消耗し続けるより、自分に合う場所を、焦らず気長に探していい。ひとりで抱え込まなくて大丈夫です。ピアサポーターのように、同じ立場で横に座って、話を聞いてくれる人もきっといます。

さいごに

働く場所のことで不安を抱えている当事者の方、そしてご家族の方が、ひとりでも「自分だけじゃない」と思っていただけたら、とても嬉しいです。働く場所のことで悩んだときは、ひとりで決めようとしなくて大丈夫です。お住まいの地域のハローワークの障害者向けの窓口や、自治体の相談窓口など、頼れる場所があります。私もこれからも当事者として、書き続けていきたいと思っています。

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また、精神疾患は保障の対象外です。

執筆者プロフィール

川田直美 (かわだ なおみ)

障害者ドットコムのコラムニスト・ピアサポーター
Webメディアで自身の発達障害(ASD・ADHD)やHSP、精神疾患(パニック障害)についてコラムを書いています。オンラインサロンや計画相談支援でも自身の障害を生かして活動しています。生きづらさを抱えながらも日々楽しみを見つけて暮らしています。
◇障害者ドットコム 公式サイト
https://shohgaisha.com/
◇川田夫妻の発達障害日記 https://www.youtube.com/@yuichi_naomi_hattatsu
 

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