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B型事業所は、私にとっての「安全地帯」だった

2026.05.07 2026.5.14

ASD、ADHD、複雑性PTSDのある私。最近、就労継続支援B型事業所に通い始めました。とても居心地がよく、「私にはこうした場が必要だった!」と感激しながら少しずつ慣れていっているところです。今回はこうした、B型に通い始めて感じることについてお伝えします。

私の通っているB型事業所

就労継続支援B型事業所とは、体調の問題などで一般雇用が難しい人が、雇用契約を結ばずに通所し、自分のペースで作業を行う福祉サービスです。お給料ではなく、「工賃」というものをもらいます。最近は在宅で利用できるものもあります。

私が通っているのは在宅ではなく通うタイプ。まずは週2回、1日3時間から慣らしています。事務系、クリエイティブ系、販売・接客系、事業所の運営の手伝いなど、できる作業は幅広く、いろいろな人が多様な作業にチャレンジしています。

傷つけあわない人間関係

初日は緊張したのですが、ほかの利用者さんと和やかにお喋りをすることができて、とても嬉しかったです。

皆、尊重しあっていました。障害名や仕事、家庭などの具体的なことに立ち入りすぎず、でもいま本人が困っていることに配慮や共感はする、という絶妙なコミュニケーションをするのです。

正直、いわゆる普通の職場や学校などの人間関係よりもずっと安全で成熟していると感じ、そのことに新鮮な驚きを感じました。私は、「人は人を傷つけるものだ、そのことに対して反省もしないものだ」と思っていたからです。

考えたのですが、たぶんほかの利用者さんが皆このように成熟して見えるのは、私と同じようにたくさん傷ついてきたから。障害や病気を背負い、それでジャッジされたりいわれのない批判や嘲笑を受けたりもしたでしょう。それで、常に、相手の見た目ではわからない背景を推し量り、それに敬意を払う。何か間違ったことをしていないか、自己反省を怠らない… そんな成熟を成し遂げたのだと思います。

「安心できる人間関係は実在したのか!」という喜びに、私はとても救われた気持ちになりました。

通える場所がある、人がいる。初めての「居場所」

スケジュール帳に予定が書き込まれること、朝、これから行く先があること。決まった時間の電車に乗り、人の波に乗って歩くこと。行った先にいつものメンバーがいて、当たり障りのない話をしたりしながら、同じ空間内でそれぞれ自分のやるべきことに集中すること。メンバーが皆、安全であること。そして私が元気であること。

こういったことの全てが、私には数十年ぶり、または生まれて初めてのことで、「私はどれだけこうしたものを欲していたか!」という叫びが胸に込み上げてきて、ちょっと嗚咽しそうになりました。

私は一人が好きだから一人でいたのではない。家にこもっているのが好きだからこもっていたのではない。私が私のままで安全に出ていける場所、安全な人たちのコミュニティが、今まで周囲になかっただけなのです。

ある日、お昼にお喋りしていたときに「もう! こうやって皆さんとお喋りできるの嬉しい!! 通うところがあるの嬉しい!! 今まで寂しかったぁあ!!」と半泣きで叫んだ私を、皆、半笑いで受け入れてくれました。(呆れただけかもしれませんが笑)

「自分の定点観測」ができ、体調が良くなった

B型は遅刻したり休んだりしてもいい。でも基本的にはこの日に何時間行く、ということを決めてあって、皆にも会いたいし、少しだけど工賃はもらえるから行きたい。だからやっぱりなるべく安定して行こうという気持ちになります。

そんな中で、初めて「自分の定点観測」ができるようになっていることに気づきました。

「今日はこういう『装備』でこういうルートで何時間何をしてこう帰ったら体調がこうだった」「じゃあ次の通所日はこうしてみよう」「そうか、ここを変えたらこう変わって、でもこれがこうってことは…」というふうに、だんだん自分のボトルネックが何なのかがわかってきます。

皆とスペースを共有するので、すべてが家のように理想的な環境というわけにはいきません。デスクも椅子も違うし、最もしんどいのは空調環境でしょうか。このため、どうしても在宅時より負荷はかかるのですが、こうした「理想的でない環境に慣れること自体」が、いずれ就労したいという私の目標につながる訓練だと考えるようになりました。

それで、自分で調整可能な範囲でどれだけやれるかを試行錯誤するようになりました。たとえば空調でのぼせたり乾燥を感じてしんどいことに関して、合理的配慮の範囲で席の位置を調整してもらったうえで、顔まわりを加湿するための水スプレーとバンダナを持っていってみたり、服装やストレッチなど工夫してみたり。

できる限りやったうえでものぼせと乾燥があまりにひどいので、もしかしてこれは薬(インチュニブというADHDの薬)の副作用では? と考えて減らしてみたところ、ビンゴでした。これがきっかけで結局この薬はやめることになり、一時離脱症状もあったものの、明らかに調子がよくなりました。

B型事業所は私にとって初めての「頑張れる安全地帯」

障害がある自分とない自分なら、今でも正直、ない自分のほうがいいなと思います。単純に、体調不良がなくなって楽になるし、(人間としての限界はあれど)どんどんどこへでも行ってなんでもできそうに思うからです。

でも、この心身を背負ってしまった以上、仕方ない。私は私なりに努力すればいいのだし、十分頑張っている。むしろきっと、まず私がすべきなのは、そのように自分を認めてあげることなのだ。そう思えるようになりました。

B型事業所にもいろいろあるので、私のとはぜんぜん違う事業所もあるでしょう。ただ、雇用でもない、それでいてただ通ってプログラムを受けるだけでもない、体調の波を乗りこなしながら継続して通い、何かしら作業をして少しでもお金をもらえる… そんなB型事業所という存在は、「働ける」と「働けない」の隙間にいるタイプの人にとっては確固たる希望になりうると感じます。

 

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執筆者プロフィール

宇樹義子 (そらき よしこ)

1980年生まれ。早稲田大学卒。ASD、複雑性PTSD。
2015年に発達障害当事者としての活動を始める。LITALICO発達ナビなどで連載開始。 2024年、日本語教師としても活動を開始。複数メディアで活動を続けながら、次の発信を模索中。
現在、発達支援×日本語支援の分野に興味津々。

【著書】
#発達系女子 の明るい人生計画
―ひとりぼっちの発達障害女性、いきなり結婚してみました

80年生まれ、佐藤愛 ―女の人生、ある発達障害者の場合

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