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メンタル安定にも効くって本当?糖質コントロールを試してみた

2026.09.24 2026.9.24

ASD・ADHD・精神障害のある息子との生活で、私が最もつらいと感じること。それは息子のパニックです。

泣き叫び、暴れ、物を壊す……目の前で苦しむ息子に通院と並行してできることはないかと、施設への通所頻度を緩めたり、カウンセリングの門を叩いたり(詳しくは過去コラム)してきましたが、成果は感じられませんでした。

服薬し、環境を整え、ストレスも回避している。それでもダメなら「食」はどうか……と注目したのが「糖質コントロール」です。

今回は、息子のメンタルの安定のため、ラクをしたい私でも取り組めて、効果を感じた試みを紹介します。

イライラを誘発する血糖値スパイク

私が着目した「血糖値スパイク」について一般的に言われていることをまずお伝えします。

食事をすると糖分が小腸でブドウ糖へと分解され、血中に取り込まれることで血糖値が上がります。血糖値が上がると、血管のダメージを防ぐため、体はインスリンを分泌して血糖値を下げようとします。

変動が緩やかなら問題ないのですが、血糖値の上昇が急激だった場合、インスリンが大量に出て、反動で血糖値が急降下することがあります。この乱高下を「血糖値スパイク」といいます。

血糖値が急上昇しているときは眠気やだるさ、頭痛が起こりやすく、そのあと血糖値が急に下がると、体は血糖値を上げようとして、興奮系のホルモンであるアドレナリン、ノルアドレナリンを分泌します。これにより、イライラや不安、恐怖心などが生じることがあるのです。

血糖値を急上昇させないために

血糖値を爆上げするのは、甘いものや米・パンなど糖質の多い食材です。空腹時の摂取や早食いも吸収スピードを上げるので、血糖値スパイクを招きやすくなります。

息子はまさに甘党で、清涼飲料水や砂糖をたっぷり入れたコーヒー、グミなどの甘いお菓子に目がありません。障害特性もあってか、ストレスから逃れるため衝動的に手を出しがちです。血糖値の急上昇がストレスを生み、さらに糖分を求めているとしたら、完全に負のループ。

甘いものを食べ過ぎて糖尿病になっては大変ですし、なにより「食べ方」が息子のパニックに関係しているかもしれない。そう感じ、食事の仕方を工夫するようになりました。

糖質の吸収を緩やかにするために有効といわれるのは、このような方法です。

・野菜やたんぱく質を先に食べる
・甘いものを控える
・主食は低GI食品(玄米や雑穀米、全粒粉パンなど)を選ぶ

これを踏まえて、私が息子に対して何を実践したかご紹介します。

クッション食材大作戦

糖質の摂取を控えられればいちばん良いのですが、米・パンなどの主食や甘いお菓子を全く食べさせないわけにはいきません。

そこで私は、食事より先に野菜やたんぱく質を「クッション食材」として口に入れてもらうことから取り入れました。

・4個入りパックのチーズひとつや、プレーンヨーグルト50gほど、笹かまぼこなどを、食事のできれば10分前に食べてもらう
・野菜サラダを作る頻度を上げ、はじめに食べてもらう
・外出時も、食事の前に与えられるようチーズを常備
・生活介護事業所でも、お弁当の前に持たせたチーズを口にする

先に消化されたたんぱく質や野菜は、あとから入ってくる糖質の消化吸収を抑えたり、遅らせたりするといわれています。血糖値スパイクを防げるのではと期待しました。

砂糖の与え方をコントロール

「甘いものの禁止」はかえって息子を苦しませるので「食べてもいいけど、ルールを守る」を徹底しました。

・清涼飲料水、キャンディ、アイスクリーム、チューハイなどは「糖質ゼロ」商品を選択
・インスタントコーヒーを飲むときなど、砂糖を使いたい場合は糖類不使用の人工甘味料で代用
・お菓子は小分けして渡す

私はネットで調べた情報などを参考に、わが家では「お菓子の糖質は一度に20gまで」と基準を決めました。たとえば一袋50g入りの「グミ」は炭水化物(≒糖質)が40gほどです。三等分に小分けしておき、食べたいと言われたときに空腹度を考えながらひと包みずつ渡しています。

空腹時にドーナツなどのガツンとくるおやつを与えるときは、前述の「クッション食材」の出番です。

ちなみに玄米や雑穀米、全粒粉パンなどの低GI食品は、息子が受け入れないであろうことを考え、取り入れることはしませんでした。

本人と家族に説明を

息子には、なぜこのような食べ方をするのかを、紙に書いて何度も説明しました。

ルールは覚えてくれて、食べたいお菓子を前にすると「チーズから食べるので」と許可を取るようになりました。

それでも息子は、自分が得た工賃で、私がいない時に自分でお菓子を買ってくることもあります。やはり完全にコントロールすることは難しく、これは仕方のないこととして、できる範囲で続けていきました。

家族の理解も必要です。わが家の場合は、一緒に住んでいるおばあちゃんがネックでした。息子に「お菓子を買って」と頼まれると嫌と言えないし、おばあちゃんが自分のために買った甘いものを、息子が黙って食べてしまうこともあります。

「こういうことに取り組んでみたい」と丁寧に説明することで、お菓子の置き場所や与え方に気をつけてくれたり、この試みで息子がどう変わるかも意識してくれたりするようになりました。

果たして、成果は……

変化を感じたのは、この食べ方を始めて2週間ほど経ったころ。
「あれ? もしかして息子、落ち着いてきた?」と思い始めました。
不穏になる頻度が下がり、不穏になってもあまりひどくならないのです。
これにはおばあちゃんも同じ感触を得ていたようで、私とふたりで「ちょっと変わってきたよね」と喜び合いました。

パニックが始まってしまったときに、「あ、30分前にアレ食べてたよな。そのせいかな」と、糖質摂取の心当たりが浮かぶこともたびたびあります。感覚的にではありますが、糖質とメンタルの関係が垣間見えたと感じました。

わずかな変化でも、私たちにとっては大きなプラスでした。成人の息子が床にひっくり返って泣き叫び、奇声を上げる。バコバコと音を立てて自分の顔を殴る。物や壁・窓ガラスを破壊する。……この狂気が家の中で起き、いつやってくるかも分からないというストレスに、家族は疲弊していたのです。

穏やかな息子でいてくれる時間が長くなったように感じられて、本当に救われました。

手間やお金がかかることは続かない

食事や栄養面からメンタルにアプローチするメソッドは、いくつかあります。
私もそのうちのひとつを始めてみたことはあるのですが、息子にプロテインやサプリを飲ませたり、血液検査の値を追わなければならなかったりする手法だったので、すぐに挫折しました。息子はプロテインもサプリも嫌がりますし、これらは高額です。

手間やお金がかかることは続かない私のような人間でも、息子にストレスをかけずに試せると思ったのが糖質コントロールでした。

もちろん、これにより息子がパニックを起こさなくなったわけではありませんし、誰にでも効果のある方法だとは言いません。

ただ、医学的な検証ではなくても、血糖値の乱高下を防ぐことが精神の安定につながる可能性は、息子を通して感じることができたと思っています。好きな時に好きなだけ甘いものを食べるより、確実に健康にいいですしね。

このように、息子が少しでも落ち着いて生活できるように、あらゆる試行錯誤を続けているわが家です。トライアンドエラーの一端を、今回は共有させていただきました。参考になればうれしいです。

ぜんち共済より
※本記事は筆者個人の体験談および一般的な健康情報の紹介を目的としたものであり、医師や専門家による医療的アドバイス、診断、治療に代わるものではありません。血糖値や体調について不安や疑問がある場合は、自己判断せず必ず医療機関を受診し、医師にご相談ください。

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執筆者プロフィール

細川 有美子 (ほそかわ ゆみこ)

1968年生まれ、福島県在住。
バックパッカーとして海外旅行中に出会ったエジプト人と2000年に結婚。現地で子供2人を出産する。2003年子供と帰国したのち、息子の発達障害が判明。夫とは2005年に離婚。
これまでに自閉症(中等度発達遅滞)・ADHD・精神障害・難病(クローン病)の診断を受けた息子の子育てと現在を、Instagramで発信。
2014年より取材・執筆活動を開始し、現在は事業所でのパート勤務、再婚の夫とふたりで米づくりにも奮闘している。
◇たきちゃん農場 https://www.takirice.com/
◇Instagram https://www.instagram.com/yumiko_days

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