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発達障害の子どもと「約束」について

「今日はお菓子は買わないって約束したでしょ!」

「7時になったら、ゲーム止めるって約束したよね!?」

お子さんとの毎日の生活の中で、「約束」という言葉を使うことって多いですよね。

でも、前もって約束しても、お菓子が欲しいと泣き出したり、ゲームを止めたくなくて怒り出したりするわが子を見ると、我慢ができない子とか、わがままな子のように見えてしまうことがあるかもしれません。

今日は、約束が守れない子ども、中でも発達障害やグレーゾーンの子どもにフォーカスし、彼らが約束を守れない原因と、今日から約束が守れるようになる方法をお話しします。

「約束」は守れて当たり前?

守ってくれたらうれしいですし、守るべきだと思っている方も多いと思います。だからこそ、お子さんが約束を守れないと、厳しく注意をしてしまいます。

でも、何度注意しても約束を守ることができない場合、お子さんの特性や周りの関わりが原因になっている可能性があります。

ここからは、お子さんの発達特性と周りの関わりの2つの視点から考えてみましょう。

約束を守れない原因1.その子の特性

約束を守るということは、「約束」とは何かを理解している必要があります。

お子さんは、「約束」という言葉の「概念」を理解しているでしょうか?いつも使っている言葉だから、分かっているはずだと思うかもしれません。

ですが、約束というのは、する人や時間、場所、内容など、いつもコロコロと変わってしまいます。発達障害やグレーゾーンのお子さんは、このようにコロコロと変わる一定のパターンがない概念を理解することが難しい場合があります。

そのため、約束を忘れてしまったり、自分の興味のある言葉だけを切り取って記憶してしまうため、約束を守るどころか全く別のことをしてしまうことさえあるのです。

さらに、記憶を維持することが難しかったり、話しの意図をくみ取れなかったりするという、発達特性も関わっている可能性があります。

まずは、お子さんに「約束って、どういうこと?」と聞いて、「概念の理解」があるかを確認しましょう。

約束を守れない原因2.周りの関わり方

お子さんが約束を守れない時、どうしていますか?

叱ったり、なぜ守れなかったのか考えさせたり、次は守ってねと丁寧に根気よく伝えたり……なんとかリベンジできる方法とチャンスを与えているかもしれませんね。

これらの関わりでスムーズに守れるようになるお子さんなら、このままで大丈夫。

ですが、これらを繰り返しても約束を守れるようにならない時には要注意。「約束を守れない」ということが、自己肯定感の低下にもつながってしまうのです。

「約束を守れない」経験をこれ以上積まないために、周囲は関わり方を見直す必要があります。

ではどのような関わり方が望ましいのでしょうか。

約束が守れるようになる方法

概念の理解が難しいお子さんも、発達特性のあるお子さんも、約束が守れるようになる方法があります。その方法をお伝えしますね。

1.お子さんが簡単にできることや、得意なお手伝いを挙げてみましょう。(書き出してみることがおすすめです!)

2. 1.であげたことを「約束」にします。

ここでの注意点は、指示をシンプルにしたり、必要であればイラストや文字、アラームなどを活用しましょう。

3.できた時に、「約束守れたね!」「約束守ってくれてありがとう!」とプラスの言葉かけをしましょう。

4.もし、できなかった時には、ヒントを出してお子さんができるようにサポートしましょう。できたら、③と同じように言葉かけをします。ヒントを出してサポートしたとしても「約束守れたね!」「約束守ってくれてありがとう!」と伝えましょう。この繰り返しです。

イメージできましたでしょうか?^^

成功体験で得られること、失敗体験で失うこと

約束を守れた成功体験と、「約束守れたね」とプラスの言葉をかけられることで、少しずつ、約束とは何か、自分はどうするべきかの「概念」理解が積み重なっていきます。

(昨日はママと約束できた。今日は先生と約束できた。あれ?どちらも約束っていうんだな。)

こんな風に少しずつ理解していくのです。成功体験って、とっても大切ですね!

でも逆に、失敗体験ばかりだとしたら……。

「約束だよ」という言葉(指示)と、注意や叱られること(マイナスな言葉)がセットになってしまうことで、いつまで経っても約束を守るという方法が分からずに、かんしゃくや暴言がはげしくなったり、自分を責めたりしてしまうのです。

また、発達障害やグレーゾーンのお子さんの中には、間違っているような気がするけれど、どうすれば正解になるのか?その方法を自分で考えることができなかったり、「わからないから教えて」と周りにヘルプサインを出せなかったりすることも多くあります。これは、大人になっても同じです。だからこそ、小さな約束から少しずつ少しずつ、積み重ねていきたいですね。

約束がこんなにも奥が深かったとは^^;

「約束」を守れる人になるために。まずは、お子さんが簡単にできることや、得意なお手伝いを書き出してみることから始めてみてくださいね!

 

執筆者プロフィール

浜田悦子(はまだ えつこ)

発達障害・グレーゾーン専門
子どもとママのための家庭療育アドバイザー

繰り返す問題行動に怒られてばかりの子どもと 孤独な子育てに苦しんでいるママに寄り添い、 子どもの自己肯定感とママの子育ての自信を取り戻し 笑顔に導く家庭療育アドバイザー。
自身の子どもが発達障害と診断されたことをきっかけに、発達支援センターの指導員へ。以来、約2,000人以上の親子に関わる。
大学、発達支援センター、放課後等デイサービスでの講演・研修多数。

【著書】
『発達障害&グレーゾーンの子どもを「急かさず」「怒らず」成長を引き出す言葉かけ 』浜田悦子 (著), 汐見稔幸 (監修) 実務教育出版

【執筆・監修】
ユーキャン 子ども発達障がい支援アドバイザー講座
ユーキャン 思春期発達障がい支援アドバイザー講座

【メディア掲載】
毎日新聞、中日新聞、朝日新聞、ひよこクラブ、朝日新聞 WEEKLY AERAなど

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