特別支援学校と特別支援学級との違い

息子は小学校時代、特別支援学校と特別支援学級の両方を経験しています。また、私は特別支援学校教員免許取得のため実習生として支援学校側に入っていました。個人的な経験ですが、私が感じた違いをお話ししたいと思います。

(1995年 実習生の時代)

 

障害がある程度重い子は特別支援学校

障害が軽度~中度の子は特別支援学級という括りなのかもしれません。

でも…

これって漠然としてよくわかりません。

息子は小学1・2年生は支援学校、3年から支援学級に通いました。

 

■違いの要素に入れないもの

下記については、違いについて考えるとき要素として入れないようにしました。

・支援級でも人員配置に余裕がある場合、支援学校並みの手厚さでやっているところもある。

・地域により人口自体が少ないため、支援学校がなく、重度の子でも支援級に在籍しているケースがある。

・保護者の意向が最優先されるので支援級に最重度の児童がいたり、支援学校に軽度の発達障害の子がいたりする。

・子どもを指導するのはシステムではなく人。教育は人なりなので、担任教師の指導力による差がある。

 

■手を貸す部分が違う

・洋服の着脱    身辺自立の練習について

【支援学校】

私が支援学校の実習生だったころ、中度の障害の子の衣服の着脱をやってあげたことがあります。

指導教官から…

「この子は衣服の着脱の自立を目的としているので、手を出し過ぎないでください。上のボタン二つは本人からは見えにくく止めづらいので立石さんがやってください。

でも、下は自分で止められるように練習しているので、手を出さないで下さい。全部のボタンを大人が止めてしまうと、いつまでも出来るようにはなりませんから」

と注意されてしまいました。

【支援学級】

一斉指導で算数や国語をやっていました。体育の時間のあと衣服を着るのが遅くなると授業に間に合わなくなるので、介護人が3つのボタンを全部留めてしまっていました。

・トイレトレーニングについて

【支援学校】

支援学校では小学校入学時、オムツをつけていても取れそうな子に対しては、時間を測って膀胱に尿が満杯になる直前にトイレに誘い、排尿させるトイレトレーニングをしていました。

【支援学級】

支援学級にもオムツを付けていた子がいましたが、小学校6年間オムツ替えを介護人がしていました。ある程度オムツが濡れたら替えるだけで、本人の前回の排尿の時刻を記録にとり、タイミングを見計らってトイレを促すトレーニングはしていませんでした。

どうして、このようにしているのかというと…

これはあくまでも、当時の私が経験したことですが、

支援級には通常級でもやっていけても、情緒的な問題行動に対してきめ細かな支援が必要なため支援級に籍を置いている子も複数いました。知的遅れがあったとしても、習得可能な学力(時計を読んだり、文字の読み書きや簡単な計算をしたり)を目的としているところもありました。

そのなかに、排泄の自立が出来ていない子がいても、その子の訓練に時間はとれない状態にありました。加配の介護人も情緒的に不安定な子、離席が激しい子など複数の子に対応しなくてはならないため、排泄訓練が必要な子にトイレトレーニングをしようとつきっきりになることは難しい状況でした。

 

■通常級で過ごしている知的遅れのある子

これは通常学級にいた知的障害のある子の話ですが、親御さんの意向で通常級に通っていました。その子が着替えに戸惑っていたら、他の生徒や加配の先生が助けてくれていました。

クラスとしてはとても良い雰囲気だったのですが、その子自身には、「黙っていれば待てば誰かが何とかしてくれる」という受け身の姿勢も同時に身についていました。

通常学級では、担任の先生は35人を見ているので、ついていけない子がいたら周囲や加配の先生がとりあえずやってしまって、教科書に沿ってみんな同じペースでカリキュラムをこなすことになります。

特別支援教育の中では対応できることも、教科書に沿って一斉指導する通常級では出来ないことも現実的にあるようでした。

 

■転校の時の面談で言われたこと

今から13年前の話ですが、息子が支援学校から転校するとき、転校先の支援学級で校長、担任、教育委員会の担当者との面談がありました。

そこで、

「支援学校とは違って個別の時間はありますが、一斉指導が中心です」

「座っていられること前提です」

「食物アレルギーがあるとのことですが、別のものを出すことはしていませんので食べられないものがあるときは持参してください」(←支援学校では乳アレルギーがある息子はクリームシチューのメニューのときは赤いシチューが出されました。しかし当時の支援学級ではそれはしていませんでした)

©今井久恵

 

「通常級に行った方が定型発達児から多くの刺激を受けて伸びるかもしれない」という考え方も理解できます。でも、「支援級に行き、きめ細かな対応をしてもらう方が伸びるかもしれない」という考えもあります。

親の気持ちだけではなく、お子さんにとって一番良い教育環境はどこなのか考えて、進級先を決めるとよいと思います。

 

 

 

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

著述家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。
自閉症スペクトラム支援士

『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』
『はずれ先生にあたったとき読む本』
『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな』
など著書多数

日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞作『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル
オフィシャルブログURL http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/

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