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発達障害があると保険に入れない?加入前の注意点とは?

私は発達障害専門のFPとして実際に発達障害の方向けに、生命保険や医療保険を取り扱っています。

ネット上の情報ではなく、発達障害と保険の現場をお伝えするコラムの第2弾です。
第1回目は「発達障害の方にとって保険とは?」というテーマでお送りしました。
第2回目は「発達障害の方の保険の入り方」について。

発達障害の方はどのような保険に入ればいいのか、告知や加入する際の注意点についてまとめました。

■保険に入る前の確認事項

発達障害の方が生命保険や医療保険を検討する前に、高額療養費制度と福利厚生の付加給付について確認しておきましょう。

高額療養費制度とは国の社会保障の1つで以下の通りです。

「医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度」(厚生労働省HPより)

 

福利厚生の付加給付とは、一か月の医療費の上限を会社の健康保険組合が独自に設定している制度です。福利厚生として付加給付制度がある会社では、自己負担額の上限が高額療養費よりも低く設定されています。
短期的な治療費の保険を検討する場合は、この2つは事前に確認しておきましょう。

ただし、治療にかかるお金は医療費だけではありません。
例えば入院すると高額療養費や付加給付で上限が決まっている医療費の他に、食事代や雑費、差額ベッド代が別にかかります。
また、がんのような病気は治療のための通院が長期間にわたることも考えられます。

社会保障制度や福利厚生の付加給付制度はありますが、もし貯金で準備するのが難しかったり、貯金を医療費で取り崩したくなかったりする場合には、保険でしっかり対応していきましょう。

■告知の仕方

発達障害の方が保険に加入する際に、気を付けることは2つあります。

1つ目は告知の仕方です。
告知とは、保険の被保険者の方が健康状態を保険会社に告げることです。
告知に漏れや嘘があると、いざ保険を使う時に保険金や給付金が出ないことがあるため、告知は正しく行う必要があります。

発達障害の方において、告知の仕方は特に大切です。

なぜなら告知の仕方によって保険加入の可否が変わってきたり、保険料が変わってきたりするからです。

例えば、同じ保険への加入だとしても「ADHD」と告知すると保険に加入できて、「発達障害」と書くと加入できないといったことがあります。
これは「発達障害」だけでは、保険会社が詳細を掴めないためにリスクと見なすためです。

 

また、保険募集人が発達障害に明るくなく「発達障害」というだけで詳しく調べずに引受基準緩和型保険を提案しているケースもあります。

引受基準緩和型保険とは告知項目が少なく、持病を持つ方でも入りやすい代わりに、保険料が健康な人にくらべて高くなっている保険のことです。

詳細まで告知していない場合や募集人に知識がないために、保険に入れなかったり通常よりも保険料が高くなったりするケースがあります。

発達障害や告知に詳しい保険募集人に相談された上で、きちんと告知して最適な条件で保険に入りましょう。

■保険の組み合わせ方

発達障害の方が保険に入る際に気を付けることの2つ目は、保険の組み合わせ方です。

特に、引受基準緩和型の医療保険に加入を検討されている発達障害の方で、その保険にがん保険や三大疾病保険の特約を検討されている方は要注意です。
というのも、がん保険や三大疾病保険は健康な方と同じ保険料で加入できるケースが非常に多いのです。

引受基準緩和型保険の特約としてがん保険や三大疾病保険を付けるのではなく、がん保険や三大疾病保険を単体の保険として組み合わせて加入することで、保険料を下げられます。

その他にも様々な組み合わせ方があるので一部紹介します。
例えば就労不能保険に加入が難しい場合は、損保の所得補償保険で対応する方法やがん保険でがんでの就労不能をカバーする方法があります。

先進医療特約の付け方も工夫ができます。先進医療特約は、引受基準緩和型の医療保険でなく、がん保険に付けることで健康な人と同じ保険料で加入できます。

お子様の医療保険の入り方も同じく工夫が可能です。損保系の医療保険で実費負担をしておいて、ぜんち共済で個人賠償責任保険と入院費用の上乗せをカバーする方法があります。

このような組み合わせは、保険に加入される際のご意向によっていろんな形で工夫することが可能です。

 

発達障害の方は定型発達の方よりも保険の選択肢は狭くなってしまうことが多いのは事実です。

ただ、すぐに引受基準緩和型という選択肢ではなく、告知や保険の組み合わせ方を色々と工夫をすることで、少しでも希望の形に近づけていくことはできます。

保険の組み合わせ方によって保険料や保障範囲が変わるため、保険ごとの特徴や保険会社の告知の特徴を把握した上で保険を組んだり、発達障害と保険に詳しい保険募集人やファイナンシャルプランナーにご相談されたりすることをおススメします。

このコラムを読んで下さった皆様が、少しでもいい条件で保険を探せることを願っております。

次回は、発達障害の方の保険加入の事例や給付金の事例を基に情報をお伝えします。

 

執筆者プロフィール

岩切健一郎(いわきり けんいちろう)

発達障害専門FP。ファイナンシャルプランニング技能士1級。
1986年生まれ、宮崎県宮崎市出身。
自身もADHDがあり、お金に苦労した経験から発達障害専門FPとして活動。
親亡きあとのマネープラン、発達障害当事者のライフプランを
年間100件以上作成。
発達障害でも加入できる様々な保険の取り扱いあります。
保険にお悩みの方や親亡き後のお金のことでの心配な方はこちらからお問い合わせください。⇒https://hinata-hoken.com/

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