特別支援学校卒業後の進路、エンドレスの子育てで辛いです

定型発達児の進級先は次の順で進みます。

・幼稚園、保育園
・小学校
・中学校
・高校

但し、幼稚園、保育園、高校は義務教育ではありませんから、これらを飛ばすことも出来ます。家庭の様々な事情により、中学卒業後、働く人もいます。

■特別支援学校高等部の卒業後の進路

 

発達に課題があったり障害を持ったりしている子の場合、義務教育機関である小学校、中学では特別支援学級もしくは特別支援学校に通うことも多いでしょう。中学卒業後は、特別支援学校高等部に進む子も多いです。

さて、特別支援学校高等部卒業後の選択肢は次です。

・生活介護…常に支援が必要な人に対して社会生活能力を向上するための場。
・就労継続支援B型…一般就労が困難な人が働く作業所。工賃として支給される。
・就労継続支援A型…事業所から雇用され最低賃金が保証される。今は激減している。
・就労移行支援…一般就労を目指す就労訓練の場。2年間限定で利用。
・一般就労…法定雇用率による障害者枠で就労。
・専門学校など。

■息子の場合

 

定型発達の子でも高校卒業後すぐに就職せず、更に社会人となるための教育の場である専門学校や大学に進む人もいます。

息子には知的障害と自閉症があります。「ハンディを抱えているのに、18歳でいきなり社会に出すなんて無謀なことだ」と私は思っていたので、障害者雇用枠での就労を目指さず、高等部卒業後は職業訓練の場である就労移行支援事業所に進みました。

制度的には2年という期間限定の通所施設なのですが、新型コロナ感染拡大の中、求人も少なかったため3年目の利用が認められて現在に至ります。

同じ事業所にいる訓練生の中には、9月や10月などの年度途中のキリが悪い月でも企業とマッチングがうまくいき、卒業していく仲間がいます。

息子は指をくわえて見ているようで、「途中でも卒業できる!」と言います。

私が「来年の3月末までしっかりと就労移行支援事業所で社会についての勉強をしてから、就職しようね」と伝えても、「そうじゃない!」と怒り出します。私が「無理して企業に入れたとしても、すぐに退職し、就労移行支援事業所に戻ってくることになっちゃうよ!」とつい、脅してしまいました。

言ってしまった後、息子が不安な表情をしたので、「でも就職した企業でうまくいかなくても、転職といってもっと自分にあう会社に行くこともできるんだよ。お母さんだって5回も転職したよ」と伝え直しました。

もしかして、小学校、中学校とある意味、自動的に進むことができたように、就職も自動的にできると思っているのかもしれません。「会社で使うハンコはいつ作るの」と何度も聞いてきます。

切なくて胸が苦しくなります。

■子育てってエンドレス

 

今までを振り返っても、私は息子の進路選択の度に悩みました。保育園卒園後、小学校をどこに進級するか悩み…

小学校卒業後の中学進級について悩みました。

中学3年生のときにはどこの特別支援学校に行くか、受験するか否か悩みました。

あっという間に特別支援学校高等部の3年間も過ぎていきました。卒業後の進路について息子の友人の中には卒業式が終わっても決まっていない子もいて、親御さんは先が見えなくて苦しんでいました。

■卒業した特別支援学校主催の、成人の会で

 

5月に特別支援学校高等部の卒業生を対象にした、飲食なしの成人を祝う会が開催されました。その中で学校卒業後のそれぞれの進路先の発表の時間がありました。

「きっと息子は、企業就職をしている同級生を、指をくわえて見るんだろうな」と私は憂鬱な気分で出かけましたが、予想とは裏腹に、息子は高等部時代の友達に会えてとても喜んでいました。

式次第にこんな祝辞が書かれていました。

「成人おめでとうございます。
あなたは大人になりました。 大人になるということは、 そこに責任が生じるということなのです。 みなさんはすでに選挙権を持っていますね。これからはお酒も飲めるようになります。

これは、あなた方が責任を持って自分の人生を生きていかなければならないということなのです。

でも困ったことが起きたときには、周りの人(親・先生など)に 相談してください。これは決して恥ずかしいことではありません。 周りの人にアドバイスを受けながら、しっかりした人生を送っていただきたいと思います。

がんばってくださいね」

親の苦労や心配をよそに、息子は今を楽しんでいる様子です。
もしかしたら息子は、“幸せな人”なのかもしれません。そして、幸せな子どもを見ていることが、私の幸せにもつながります。この先の息子の人生について焦って悩んでばかりいても仕方がないのかもしれません。

子育てって「自分以外の人のために苦しむ」ことだと思います。子どもの様子を見て
一喜一憂したり、嬉しそうな子どもの姿を見てホッしたり、こういうことの繰り返しだとしみじみ思います。

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

著述家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。
自閉症スペクトラム支援士

『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』
『はずれ先生にあたったとき読む本』
『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな』
など著書多数

日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞作『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル
オフィシャルブログURL http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/

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