発達障害ビジネスに気を付けろ!

私は20年間学習塾を経営していました。そのときの業界仲間が言った言葉です。

「健康食品には『これを買って飲んだら○○が治ります』と宣伝してはならない“薬機法”があるが教育産業にはない。

小学校、中学受験を唄っている塾は合格率で客観的評価がされるが、受験に特化していない幼児教室は『能力を伸ばします』、『自立の目を育みます』と宣伝しても法律違反にならないし、それが成しえなかった場合、責任を問われることはない。楽な商売だ」

また別の話、知り合いが“○クシイ詐欺”(婚活、結婚系雑誌)という言葉を言っていました。

・幸せはここからが幸せという線引きはないのに『幸せになれます』と断定
・テレビショッピングのように「これは個人の感想です」の注意書きがない。
・「離婚率3割」の説明、インフォームドコンセントがない。

片づけ本も「書いた通りやってみたが、家は直ぐに散かる!効果がなかった!」と読者からクレームを受けることはまずありません。

なぜ、相手を責めないのかというと…

「自分のせいだ」と思うからです。

■自称カウンセラーには要注意

“公認心理師”は国家資格、でもカウンセラーにはある日突然誰でもなれます。

個人が“○○会認定カウンセラー”と名称を付けて、その中だけで通用する個人資格を作り宣伝している人もいます。でも、これらは国が認める公的な資格ではありません。

更に高額なものが控えていることがあります。最初「無料コーチします、カウンセリングします」と無料を唄っていても、それはフロントエンド商品、後に一時間○○万円と高額なバックエンド商品が控えていることもあります。

【言葉の説明】
マーケティング用語。“フロントエンド商品”とは集客商品、 “バックエンド商品”は本命商品
買ってもらいやすい、集客商品を一度買ってもらい、価値を感じてもらった後に、利幅の大きい本命商品を紹介し買ってもらう。マーケティング手法の一つ”
例えば、居酒屋が「夜も来店してもらおう」と“安価なランチセット”を準備する手法。ランチセットがフロントエンド商品で、夜のメニューがバックエンド商品である。
CMで流れているドモホルンリンクル無料お試しセットもそうである。

 

アトピービジネスという言葉があります。アトピー性皮膚炎の患者の心に付け込んで、ステロイドの塗り薬は怖い薬であると宣伝し、高額商品を売りつけるビジネスです。発達障害ビジネスもそれと似ているように感じます。
私も22歳のときアトピー性皮膚炎に苦しんだ時期があった。随分とお金をつぎ込みました。

(東京医大の皮膚科に入院していた頃 1989年 4月)

■子育ての経験だけでカウンセリング

特に最近”発達障害”がクローズアップされてきたせいか、発達障害の子を持って、藁にもすがりたい気持ちでいる親御をターゲットにした「発達障害、治します」の書き込みも目に付きます。

けれども、発達障害のこだわりや癇癪や衝動性などは療育により多少改善することはあっても、発達障害自体がなくなることはありません。お爺さんになってもお婆さんになっても発達障害者のままなのです。

8050問題、内閣府ひきこもりの40~64歳が、全国で推計61万3千人いるとの調査結果を発表しました。このことで「引きこもりから救い出します」のビジネスも同様に横行しはじめているようです。

■鶏が先か卵が先か?

ある自閉症の子を持つ親が、同じ障害児を持つママ友から「○○さんのセッションを受けたら通常級に入学できた!」と耳にしました。 (“通常級に行く”ことをゴールにすること自体が甚だ疑問で、手厚い特別支援教育を受けた方がその子にとっては幸せなこともあるのに…)

鶏が先か卵が先かで、もしかして元々、通常級でやっていけた子だったのかもしれません。

友達の話を聞いてその親御さんは「わが子もそうなるかも!」と夢見て必死でした。でも、通常級に馴染めず支援級に通うことになったのですが…

親御さんは「うまくいかなかったのは私のせいだわ」と自らを責めていました。

子どもが幼いと見えない将来に不安が募り、「今のうちになんとか親が頑張り、子どもにも努力させれば必ず変わる」と鼻息が荒くなり、期待するのも無理からぬことです。心の隙間に入り込まれ、専門用語を使われ心奪われるかもしれません。

怪しいか、そうではないかを見極める冷静な姿勢が大切だと思います。

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

著述家
20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。
自閉症スペクトラム支援士

『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』
『はずれ先生にあたったとき読む本』
『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』
『動画でおぼえちゃうドリル 笑えるひらがな』
など著書多数

日本医学ジャーナリスト協会賞大賞受賞作『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル
オフィシャルブログURL http://www.tateishi-mitsuko.com/blog/

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