大切なのはSOSを出すこと、計算できなくても買い物できます

子育方針を聞くと「人に迷惑をかけない子」「一人で何でもできるようになること」と答える人が多くいます。

でも、健常児も障害児も何でも一人で出来るようになることが自立ではないと思います。人は出来ないことの方が多いのですから、出来る人に頼ればいいのです。そして、「ありがとう」と言える子に育てればよいのです。

話は変わりますが、片付けが苦手な人が片づけ本を読んでも片付かず、出来ない自分を自己否定することがあります。お金はかかりますが週1回でも○○メリーメイドなどのサービスはたくさんありますから、利用するのも一つの方法ではないでしょうか。それと同じだと思います。

更に…

「人に迷惑をかけてはいけません!」と言い続けると、困ったときに助けを求められない人になってしまうかもしれません。迷惑をかけたら「ごめんなさい」と言えればよいのです。

人には貢献意欲があります。誰かの役に立つことで相手には自己肯定感がつきます。

そして、本人も自分が助けてもらった経験を通して、人を助けてあげられる子になります。更に人の役に立つと本人にも自己肯定感がつきます。

■モーレツ母さんになっていた

息子は計算が出来ません。「買い物くらい出来ないと、私があの世にいったときに困る」と思い、家の食事に値段をつけて、それをお金で渡す練習をしたり…

こんな教材を作ったり…

次のような計算問題を作りやらせていたりしました

中学の時、支援学級の個人面談のときそのことを伝えると、担任に次のように言われました。

・「僕はお金がわからないのでお財布から取って下さい」と言える子に育てなさい。

・日本は治安が良い国なのだから店の人が多めに取ることはしないので安心です。

・「お金の計算がわからなくちゃダメだ」と親から厳しく言われ練習をしている生徒がいました。その子は財布から正しい額を出せないことを恥ずかしいと思ったのか、商品を黙って持ち帰るようになってしまったんです。

・難しい計算ができても、物の価値がわからない子がいます。「白菜は2,000円くらい」と平気で言ったりする。その価値がわかるようになるのはなかなか障害のある子どもには難しいです。

SOSを出す力が大切だと気づきました。

宿題が解けないとき息子は「計算機!」と訴えます。便利なツールに頼るのも誰かに頼るのと同じことです。キャッシュレスの時代がやってきたのでカードに頼ればよいのです。

これは、学校から持ち帰ったプリントです。

将来の仕事について書いたもの。給料欄に5,000円とありました。プラレールはだいたいこの金額。だから「給料5,000円でよい」と考えたのでしょう。作業所に行けば工賃は月10,000円位なので「当たらずといえども遠からず」なのですが、生活するにはいくら必要か、金銭感覚がありません。

コンビニで好きなお菓子を買うのが習慣になっています。何故、計算できないのに買い物できるのか…それはレジの人に助けてもらっているからです。

ある日、500円もするショートケーキを買ってきたので「毎日これだと破産する」と思い、「200円以下のものにして」と伝えると、翌日から100円前後のヨーグルトやプリンを買ってくるようになりました。「ちゃんとわかるようになってきているじゃないか~」と思いました。

出来ないことは誰かに助けてもらって生きる、これも自立の形です。親は子どもといつかお別れする日がやってきます。いつまでも世話をしてやれないのですから、他人に頼ることは親亡き後のことを考えたら必要な力だと思っています。

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など著書多数。『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など著書多数。『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル

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