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キャラバン隊 in 千葉研修会 ~体験と学びの1日~

知的障害や発達障害のある方が、地域で安心して暮らしていくために欠かせないのは「周囲の理解」です。困っていることや特性を正しく理解してもらうことで、学校や職場、地域での暮らしがぐっとスムーズになります。

その理解を広げる活動のひとつが「啓発キャラバン隊」(以下キャラバン隊と記載)。疑似体験型のワークショップや寸劇を通じて障害特性を知ってもらう取り組みで、学校、地域団体、行政など幅広い場所で活動しています。全国に80以上のキャラバン隊がありますが、千葉県内にも複数の隊があり、活発に活動しているとのこと。今回は、千葉県内のキャラバン隊が一堂に会する千葉県手をつなぐ育成会のイベント「キャラバン隊 in 千葉研修会」を取材しました。

終始あたたかくリラックスした雰囲気で進行されているのが印象的でした。

人気アニメキャラと体感する「伝わらないもどかしさ」

午前中のメインはキャラバン隊による寸劇。筆者も参加者として体験しました。数分間会場の外に出され、その後舞台に呼ばれると、おもむろに人気アニメのキャラクターに扮した2人が近づいてきました。ところが発する言葉は「ピカー!ピカー!」のみ。こちらが話しかけても返ってくるのは「ピーカー(怒)!」という語調の強い声。何を伝えたいのかがわからず、次第に胸がざわつき、不安でいっぱいになります。

これは、知的障害のある方が日常で経験する「伝わらない苦しさ」を疑似体験できるプログラム。言葉が通じない状況に置かれると、心細さや孤立感がどれほど強いかを肌で感じました。

体験後には「良い接し方」「悪い接し方」の具体例も解説されました。

  • 良い接し方:ゆっくり、やさしく、短く、顔を見て、一つずつ伝える
  • 悪い接し方:大声、早口、怒る、しつこく繰り返す

頭では知っていたはずのポイントですが、実際に体験してから聞くと説得力がまるで違いました。

笑っているが実際は混乱し、不安な気持ちの筆者

関哉 直人弁護士の基調講演「心のバリアフリーを考える」

午後の基調講演には、障害者の人権問題に詳しい関哉直人弁護士が登壇。「被後見人の選挙権回復訴訟」「旧優生保護法訴訟」などを手がけ、障害者の尊厳を守る活動を続けてきた方です。(弊社の顧問弁護士としてもお世話になっております)

講演では、「情報を伝える」という行為を「受け取る」「理解する」「伝える」の三段階に分け、それぞれの場面で障害のある人がつまずきやすいことをていねいに説明。その上で「伝わらないのは障害のある人の責任ではなく、社会や周囲の工夫不足によるもの」という視点が強調されました。

さらに、合理的配慮を法律で義務化することの重要性に触れつつも「法律は人の心までは変えられない。まず“知ること”が心を動かす出発点」と語られ、キャラバン隊活動の意義を改めて確認できる内容でした。

ワークショップ:現場の声に触れる

午後のワークショップでは、2つの寸劇を題材に意見交換を行いました。

・電車内で、特定の座席に強くこだわる自閉症の人と、戸惑う周囲の乗客
・運動会で我が子だけ種目に参加していない。先生に理由を聞くと「危ないからいいんです」と返されてモヤモヤしながら黙る母親

私の班には、発達障害や知的障害のあるお子さんの親御さんが参加されており、普段抱える葛藤や願いを率直に話してくださいました。ワークショップを通して親御さんと交流し、それぞれの人柄に触れることで、これまで遠い世界のことと無意識に線を引いていた課題を、自分に近づけて考えられるようになったように思います。

また、特別支援学校の先生に話しかけたところ、夏休みを返上して参加されたそうで「同僚にもぜひ参加してほしい」「参加して良かった!」と仰っていました。

「そこ僕の席」と繰り返す男の子(役)と、冷たく無関心な乗客達(役)関哉弁護士も出演。

会場の雰囲気と学び

会場には千葉県各地からキャラバン隊メンバーが集まり、笑顔と活気にあふれていました。久しぶりに顔を合わせる仲間同士が近況を語り合う姿もあり、まるで「ホーム」のような温かさ。

寸劇、ワークショップ、講演を通じて、障害のある方やご家族が日々感じる困難を“自分のこと”として体感し、理解するきっかけを得られた1日でした。キャラバン隊の活動が、地域の人々の心に小さな種をまき、支え合う輪を広げていることを実感しました。

★今回のイベントの主催者★
一般社団法人 千葉県手をつなぐ育成会
知的障害・発達障害 のある方やそのご家族を支え、地域で安心して暮らせる社会の実現を目指して活動しています。興味のある方は公式サイトをご覧ください。正会員・賛助会員を募集中です。[千葉県手をつなぐ育成会 公式サイト]

 

執筆者プロフィール

ぜんち共済staff(ぜんちきょうさいスタッフ)

この連載では、障害のある方のための専門保険会社「ぜんち共済」のスタッフが、日々出会う障害者福祉に関わる皆さんの取り組みをご紹介します。現場には、工夫やあたたかなつながりが多くあります。そうした様子を、不定期ではありますが、少しずつお届けできればと思っています。福祉に詳しくない方にも、気軽に読んでいただけるような、ちょっと気になる話題を集めていきます。

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