コロナ禍で、障害のある人の働き方を考える

障害者雇用における新型コロナの影響

新型コロナウイルスの感染拡大で、相談支援で関わる当事者の方々から次のような困りごとの相談がありました。
・新型コロナに感染しないか心配で、職場・就労支援事業所に行けなくなった。
・企業実習を無事終えていたが、内定取り消しになった。
・勤務日数・時間が減って、時給制なので給料が少なくなった。
特に清掃や工場での作業など、職場に行かないとできない仕事の方は、生活に大きな影響を受けています。私が担当している方にはいらっしゃいませんが、障害者切りで解雇になったケースも耳にします。
一方で、テレワークが進んだことで、仕事環境が改善したというケースもありました。

テレワーク化をチャンスと捉える

テレワークは、知的障害がある人などでは対応が難しいという課題もありますが、テレワーク化が進んだことで、障害特性によっては、次のような良い面も生まれました。
・職場に行く必要がなくなったので、車いすユーザーは、階段、段差、狭さなどを気にしなくてよくなった。
・電車に乗る必要がなくなったので、パニック障害などがある人は、過呼吸などの心配がなくなった。
・ソーシャルディスタンスを保つようになったので、人混みに行かなくてよくなった。
・定時に職場に行く必要がなくなったので、働く時間を調整しやすくなった。
・音や匂いに敏感な人は、自分に合った環境にカスタマイズできるようになった。
・コミュニケーションが苦手な人は、同僚や上司との雑談や仕事帰りの飲み会に行く必要がなくなった。
テレワークへの対応状況は企業によって大きな差がありますが、在宅勤務の配慮に積極的で、関係機関と連携してしっかりサポートしてくれる企業も増えています。障害者求人転職・採用情報サイトのアットジーピー(https://www.atgp.jp/)やクローバーナビ(https://www.clover-navi.com)などで、在宅勤務の条件で探すことができます。また、株式会社D&I(https://di-agent.jp/lp/teleworker/?inflow=corp)では、在宅雇用支援サービスを行っていて、在宅での仕事探しのサポートに加えて、在宅で安心して働けるよう、環境提供の支援などフォローしてくれます。

「働かない」という選択肢

「働かざる者、食うべからず」が浸透している社会で、「生産性のない障害者は要らない」と植松死刑囚がたくさんの命を奪いました。働けない障害のある人は、生きる価値がないのでしょうか。相談支援で当事者の方々と関わる中で、早く働いてお金を稼ぎたいという相談が多くあります。私は、働くことが難しい人は、無理してまで働く必要はないと思っています。「お金に困っているから働かなければならない」は、自分を苦しめて、障害や病気の悪化にもつながりかねません。働かないことで引きこもってしまうことはよくないと思いますが、行政などに相談して、福祉サービス、障害者年金、障害者手帳、生活保護などの制度を活用して、日中活動に参加し、社会と接点を持ちながら生活することも1つです。
私の妻はパニック障害がありますが、これまで、絵を描いたり、アクセサリーを作ったり、コラムを書いたり、その時その時好きなことを仕事にしてきています。お金になるならないに関係なく、自分が好きなこと、やりたいことをして生きていくことが大切だと思います。
生きづらさを共感して、働く人、働けない人、働かない人が共に支え合う社会が目指すべき姿だと思います。誰もが、いつか障害者になります。高齢になると耳が聞こえなくなったり、足が不自由になります。事故や災害で障害を負う可能性は誰にだってあります。そんなふうに誰もが自分ごととして考えれるようになれば、自然と支え合える社会になると思います。

障害者ドットコム
http://shohgaisha.com

執筆者プロフィール

川田 祐一(かわだ ゆういち)

石川県金沢市生まれ。
同志社大学卒業。阪神淡路大震災直後、知的障害者施設で障害者と一緒に炊き出しや仮設住宅訪問など支援に取り組む。
宇治市社会福祉協議会を経て、兵庫・宝塚のNPOで障害者の就労支援に携わり、その後、起業し、10年で事業所を阪神地域で12か所まで拡大した。
現在はインターネットメディア「障害者ドットコム」の代表、大阪医専の講師を務める。

川田 祐一
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