器物破損したとき救われたこと

自閉症の息子は特別支援学校高等部を卒業するまでの10年間、障害児を対象にしたスイミングスクールに通っていました。

 

そこに通う30歳のダウン症の人が気になる存在になり、こだわりと化し、相手が嫌がっているのにも関わらずちょっかいを出し、しつこくする行為が1年ほどパターン化し続いていました。

 

息子は教室に一人で通えていたのですが、しつこくするのを止めさせるため、見張り役として私が毎回付き添っていました。

 

 

■たまたま

その日はたまたま用事があり、一人で行かせていました。すると私の携帯に「パニックを起こして暴れているので迎えに来てほしい」と連絡がありました。

 

いつものようにしつこくしてることに対して、コーチが普段よりもきつく大声で叱りました。するとスイッチが入ってしまいパニック、非常ベルを鳴らし、その音を聞いて自身がびっくりし、またパニック。ゴミ箱を投げ、ガラスを割ってしまいました。

 

 

それで「立石君がパニックを起こして大変な状況になっています」と電話がかかってきたのです。私は「迎えに行くのでそこで待たせていてください」と伝え電話を切りました。ところが数分して今度は「プールを飛び出してどこかへ行ってしまいました」と連絡がありました。

 

 

■見知らぬ人から電話

どこえ消えたかわからない息子を探そうと現地に向かいました。すると今度は本人の“見守り携帯”から電話がかかってきました。

 

息子は「警察に捕まる!」と泣き叫んでいました。その後、見知らぬ男の人が電話口に出てきて「私の車をお子さんが蹴ったんです。『警察に連れて行く』といったら大暴れしていて、どうしたらいいですか?」と言ってきました。どうも、プールでのパニックの流れで、路上の車を蹴ったようです。 男の人は事情を話したら、理解してくれました。

 

 

■退会

障害児対象のスイミングスクールなのでこのことで「もう来ないでください」と退会処分になることはないのですが…本人は強く叱らたことでトラウマになってしまい「もう、水泳、辞める!辞める!」と言い出しました。

 

 

私はたとえ障害があっても「自分の感情を上手にコントロールすること」を学んでほしかったので、私は本人の希望を受け入れた言葉ではない形で「プールで暴れて出入り禁止になってしまい、退会することになったよ」と息子に伝えました。

 

 

■弁償

さて、壊した窓ガラスを弁償することになりました。保険に入っていたので電話をしました。

 

すると、電話に出た方が「それは大変でしたね。息子さんにお怪我はありませんでしたか。お怪我の補償も付いていますから大丈夫ですよ。」と、とても丁寧に対応をしてくれました。

「状況をわかってくれる人がここに居た」という感じがして気分が軽くなりました。結果、全額保険でカバーでき、私の負担額は0円で済みました。

実は私はずっと保険に入ることをしぶっていました。どうしてかと言うと息子には自傷行為は度々ありましたが、性格は穏やかで、昔から他の人を傷つける他害行為はなかったからです。ですから「保険なんか入って無駄金を払いたくない」と思っていました。

 

ところが通っている放課後等デイサービスのスタッフから「皆で外出することもあるので、何があったときのために、必ず保険に入ってほしい」と言われていたので、渋々ですがこちらの保険に入っていた経緯がありました。

 

親亡きあと、私が息子を見守るわけにはいきません。これからの息子の人生に寄り添ってくれる仲間は人、その一つが保険だなと感じた出来事でした。

執筆者プロフィール

立石美津子(たていし みつこ)

20年間学習塾を経営、現在は著者・講演家として活動。『一人でできる子が育つテキトーかあさんのすすめ』『はずれ先生にあたったとき読む本』『子どもも親も幸せになる発達障害の子の育て方』など著書多数。『発達障害に生まれて(ノンフィクション)』のモデル

立石美津子(たていし みつこ)
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