障害者が一人暮らしをするときに受けられる支援は

障害者の生活の場は、障害者支援施設やグループホームなどの施設系での支援を受ける以外にも、アパートなどで支援を受けながら一人暮らしをする、という選択肢があります。では、その際に受けられる支援には、どのようなものがあるかを見ていきましょう。

■居宅介護、移動支援~障害者の特性を理解している人が援助してくれる
居宅介護は障害者の生活する家を訪問して、入浴・排泄・食事・着がえなどの身体介護、調理・洗濯・掃除などの家事援助、生活に関する相談と助言など、生活全般にわたる援助をしてくれます。
実際に訪問する人は、都道府県知事の指定する居宅介護従業者養成研修の課程を修了しています。この研修では、障害者の特性についての理解を深めるものや、権利擁護に関するものなど、障害者の介護に特化した内容も含まれています。
また移動支援は、移動介護従事者、通称ガイドヘルパーと呼ばれる人が、障害者が外出するときの補助を行ってくれます。やはり介助する障害者の特性についての研修を受講しています。
ひとり暮らしを充実させるために、こういった障害者の特性を理解している人たちの支援はとても心強いことと思います。

■日常生活自立支援事業~地域生活の困りごとについて支援を受けられる
日常生活自立支援事業は、契約に基づき、福祉サービスの利用に関する相談、助言や情報提供、金銭管理などの支援を行い、利用者が安心して自立した生活を送れるようにサポートすることを目的としています。事業を行っているのは地域の社会福祉協議会です。
基本サービスは福祉サービスの利用援助、オプションとして日常的な金銭管理サービス、年金証書や通帳などの書類等預かりサービスがあります。
たとえば、役所や銀行の手続きをひとりでするには不安な場合、アドバイスしてもらう、いっしょに窓口について来てもらう、通帳や印鑑の管理が不安なら、金融機関の貸金庫に預かってもらう、などの援助が行われます。生活支援員が月に1,2回訪問して、実際の支援を行います。
料金は地域や本人の収入によって若干の違いはありますが、すべてのサービスを利用しても、月額で3千円前後となっています。

■自立生活援助~期間限定のサービスで自立生活のノウハウを身につける
2018年からスタートした新しい福祉サービスです。ひとり暮らしをしている障害者を定期的に訪問し、食事や掃除・洗濯など生活面の課題や経済面、健康面、近隣との関係などについて問題がないかどうかを確認し、必要な助言や支援機関との連絡調整などを行うものです。また、利用者からの相談や依頼があった場合には、訪問、電話、メール等による対応も随時行います。
たとえば、栄養バランスの取れた食事ができているか、家賃や公共料金の滞納はないか、定期的に通わなければならない病院にはちゃんと通院しているか、ご近所とのトラブルはないかなどについて、本人を訪問することで確認し、必要な助言などをすることになります。
このサービスを使えるのは原則1年間ですが、あと1年までの範囲で延長可能です。この間に一人暮らしができるノウハウを自分で身につけることになります。
 
■重度訪問介護~支援者がずっとそばで支援してくれる滞在型の支援
重度訪問介護とは、重度の肢体不自由または知的障害・精神障害があり常に介護を必要とする方に対して、ホームヘルパーが自宅を訪問し、入浴、排せつ、食事などの介護、調理、洗濯、掃除などの家事、生活等に関する相談や助言など、生活全般にわたる援助や外出時における移動中の介護を総合的に行うものです。
以前は身体障害者のみが対象でしたが、2014年から行動障害があるなど一部の知的と精神の障害者も利用できるようになりました。知的と精神の障害者が利用できる条件は、障害支援区分4以上で行動関連項目等(12項目)の合計点数10以上となっています。
このサービスでは、ヘルパーが夜間も含めて本人のそばについてケアしてくれるので、常に介護が必要な重い障害がある方でも、在宅での生活が続けられるように支援することができます。

執筆者プロフィール

渡部 伸

  • 1961年生、福島県会津若松市出身
  • 「親なきあと」相談室主宰
  • 東京都行政書士会世田谷支部所属
  • 2級ファイナンシャルプランニング技能士
  • 世田谷区区民成年後見人養成研修終了
  • 世田谷区手をつなぐ親の会会長
著書
障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」
障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本
(ともに主婦の友社刊)

渡部 伸
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