コラム

障害のある子と成年後見制度

障害のある子の権利を守るために、成年後見制度は重要な制度です。では、制度の利用を考えるのはどんなタイミングがいいのか?その前に準備をしておくことや、注意したいポイントなどを整理してみました。

■中途でやめたりお試しに利用したりはできない

 成年後見制度は、判断能力の不十分な人の財産や権利を守るための制度です。私が講演会や相談の場などでお会いする親御さんたちは、制度についての関心が非常に高く、よく勉強もされています。ただし、実際に子どもに後見人がついているという人は、まだまだ少ないという印象です。そしてお会いした親御さんの多くが「障害のある子に成年後見制度は向いていない」とおっしゃいます。
理由はいろいろあると思いますが、大きな要素となっているのは、成年後見制度は、一度始めたらよほどのことがない限り途中でやめられないということではないでしょうか。
そうなると、例えばまだ20代の子どもに成年後見制度を始めたら、本人が亡くなるまで何十年と成年後見制度の中で生活することになります。後見人制度は本人の権利擁護のためには必要な制度だとは思いますが、お試しで利用してみようということはできないので、重い決断になります。
そして大きな問題は、後見にかかわる費用もずっと掛かってくるということです。専門職が後見人についたら後見報酬がかかりますし、親族が後見人の場合でも最近は後見監督人がつくケースが多いので、その場合は後見監督報酬がかかります。これらの報酬は、活動に対して支払われる正当な費用だと私は思っていますが、収入の少ない障害者にとっては重い負担になる可能性があります。親がめんどうをみているのであれば、この報酬は支払わなくてもすむので、できるだけ成年後見制度は使わないでおこう、と考える親御さんが多くなるのはいたしかたないのかなとは思います。 

■後見制度のことを相談できる窓口を把握しておくことが重要

私は障害のある子の親御さんに聞かれたときには、ご高齢で健康にも不安があるというケース以外には「もうちょっと待ってみてもいいんじゃないでしょうか」というようにお答えしています。
ただし、ずっとそのままでいいわけではありません。やはり真剣に考えなくてはいけない場面が必ず来ます。そこで、いざというときに慌てなくて済むように、成年後見制度の相談窓口がどこにあるかをぜひ知っておいてください。多くの自治体では、社会福祉協議会や民間に委託して、成年後見センターなどの窓口を開設しています。また、親の会などの障害者団体に所属していると、先輩の親御さんですでに成年後見制度を利用している人がいることがあるので、生の体験談も聞けるのではないでしょうか。
さらに、最近は障害者の親を中心にNPOや一般社団法人を設立して法人として後見活動をしていこうという団体も増えていますので、そういったところが身近にあれば連絡をとっておくと、相談にのってもらえると思います。

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watanabe
渡部 伸
1961年生、福島県会津若松市出身
「親なきあと」相談室主宰 
東京都行政書士会世田谷支部所属
2級ファイナンシャルプランニング技能士
世田谷区区民成年後見人養成研修終了
世田谷区手をつなぐ親の会会長
著書 
障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」
障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本
(ともに主婦の友社刊)

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