コラム

相続人に障害のある子がいる場合~遺言執行者の指定について

 誰かが亡くなった場合、その方の財産はどうなるでしょうか。
 亡くなった方の銀行口座は凍結されて、すぐには預金をおろせなくなります。相続人が誰かがはっきりするまでは、この凍結は原則解除されません。
 相続人が誰かを証明するには、遺言の有無によって必要な書類が異なります。それぞれの場合、どのような手続きが必要になるかを見ていきたいと思います。

相続人全員のサインと実印が必要

 まず遺言書が無い場合は、法定相続人全員が財産の分配方法について合意したことを証明する遺産分割協議書を作成します。この 書類には、相続人全員のサインと実印が必要になります。
 このとき相続人の中に障害者がいて、本人はサインができない、または実印が無いといった状況だと、どうなるでしょうか。その場合は成年後見制度を利用し、障害者に成年後見人をつけてもらう必要があります。すでに後見人がついている、あるいはこの機会に後見人をつけようということでしたら、もちろん問題はありません。
 しかし、まだ後見制度を利用したくないと思っていたときに相続が発生すると、意に反して成年後見人をつけなくてはならなくなってしまいます。
 では、遺言があればOKでしょうか。
 この場合、遺産分割協議書は不要ですが、金融機関で口座の凍結を解除するときには、相続手続きの書類を提出しなければならず、そこには相続人全員のサインと実印が必要になるのです。実は遺言があったとしても、やはり成年後見人が必要になります。

遺言執行者を決めておくと手続きがラク!

 相続がきっかけで成年後見人をつけるような事態は避けたい、という場合はどういった準備をしておけばいいでしょうか。遺言書の中で遺言執行者を指定しておくと、相続人にサインができない、実印が無いという障害者がいても、成年後見人がいなくても相続手続きをすることができます。
 遺言執行者とは、遺言に書かれている内容を実行する権限がある人で、相続人全員が署名押印した書類が無くても、単独で金融機関でお金をおろせますし、不動産の相続登記をすることができます。
 この遺言執行者を誰にするのか。銀行や弁護士など第三者に頼むこともできますが、相応の費用がかかります。ある銀行での費用は、契約時の手数料に約30万円、プラス遺言執行手続き時に相続財産額の2~0.3%(財産額が多いとパーセンテージは低くなる)となっています。また、弁護士や司法書士に頼んだ場合の費用は、数十万円から百万円超とかなりバラつきがあります。
 実は遺言執行者はこのような銀行や専門職でなくても大丈夫です。長女、長男などの家族、相続人の誰かを指定することもできます。その場合は特に費用はかかりませんよね。将来、遺言を作成するときのために、この遺言執行者という便利な役割を、ぜひ覚えておいてください。

金融機関によって対応にはバラツキも

 ただし金融機関によっては、遺言執行者が第三者ではなく相続人である場合、手続きのための書類を要求される場合があります。そこで、現在口座のある銀行等に事前に確認して、遺言執行者を指定した場合の対応を確認してみてください。もし相続人全員に署名、押印が必要という場合は、第三者でなくても対応してくれる金融機関に資産を移す、あるいは遺言執行者に相続人以外の第三者を指定するなどの対策も必要になってくるので、ご注意ください。

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watanabe
渡部 伸
1961年生、福島県会津若松市出身
「親なきあと」相談室主宰 
東京都行政書士会世田谷支部所属
2級ファイナンシャルプランニング技能士
世田谷区区民成年後見人養成研修終了
世田谷区手をつなぐ親の会会長
著書 
障害のある子の家族が知っておきたい「親なきあと」
障害のある子が「親なきあと」にお金で困らない本
(ともに主婦の友社刊)

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