コラム

先回りお母さんになっていませんか?

私は、ファイナンシャルプランナーとしてお金のご相談に応じるほか、知的障がいと発達障がいのあるお子さんの学習支援教室を主宰しています。教室は、保護者(主にお母さん)とお子さん、そして私の3人で進めていくカタチです。今回は、教室での学習支援を進めている折、気になる先回りお母さんについてお話をしたいと思います。

先回りお母さんとは

学習支援に初めてお越しになる際、使うノートや鉛筆をお母さんが自分のカバンからお出しになることは良くみられる光景です。その際には、次回以降、お子さんのカバンを作り、お子さんがノートや鉛筆を出すようにしていきましょうとお伝えするようにしています。しかし、お子さんのカバンを作った後も、お母さんが勉強道具をお子さんのカバンの中から取り出すこともあります。その際、「お母さんではなくて、お子さんに出させましょうね」とお伝えすると、ハッとした顔をされるお母さんも少なくありません。

このように、物事をスムーズに進めるために、お子さんの先回りをしてしまった経験がある方も多いのではないでしょうか。もしかしたら、無意識のうちに行っているので自分が先回りお母さんであることに気づいていないというケースもあるかもしれません。

お子さんが「考える」機会を作ろう

先の例では、自分で勉強道具をカバンから出すことに慣れてくると、次のステップに進みます。「じゃあ、今日は算数から始めよう」とだけ伝えて待っていると、次第に「勉強するときには何が必要なのかな?」というヒントや具体的な指示を出さなくても算数のノートと筆記用具を出し、使うページを開いて待つということまでできるようになります。最初こそ、キョトンとしているお子さんでも、自分で考えて行動するようになるのです。

学習支援教室では、保護者の日頃の悩みをお伺いする時間もあります。その中には、「こどもが自主的に動かない」という声もあります。

全てではありませんが、「こどもが自主的に動かない」という悩みをお持ちのお母さんには、無意識の先回りお母さんが多いように感じています。これは学習面だけではありません。教室に入る際に、靴を脱ぎっぱなしのお子さんの後ろでお母さんが靴を揃えていたり、「今日は学校(幼稚園)でどんなことをしたの?」という問いに対して、お子さんの返答を待ちきれずにお母さんが答えたり、お子さんの不明瞭な発音をお母さんが言い直したりと、様々なシチュエーションがあります。

確かに、お母さんが先回りをしてあげることで、物事はスムーズに運びます。しかし、それをいつまで続けますか?20才になった途端にお母さんの手を借りずに、お子さんが自分で考えて行動するようになるなんて魔法はありません。

以前、FPとして軽度の知的障がいのある成年男性(当時23才)のご両親から相談を受けたことがありました。彼は一般就労による給料を得ていましたが、振り込み口座からのお金の出金はすべてお母さんが行っていました。つまり収入の中で生活していくために、どうしたらよいか考える機会は作られていませんでした。

給与の使い方ひとつとっても、社会人としての生活は、自分で考えて行動することの連続です。もちろんサポートを受けながら、意思決定を行っていくことも可能でしょう。それができるように促し、自分で考えて行動する意識をお子さんが持つまでには、保護者の方の忍耐も覚悟も要ります。しかし、その意識は一朝一夕に身につくものではありません。親なき後も、お子さんがお子さんらしく、自分の望む生活を送るためにお子さんの力を信じて、少しずつ先回りお母さんを卒業してみませんか?

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キムラミキ
プロフィール
キムラミキ

鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、独立系FP会社での業務委託・スタッフ経験を経て、2008年8月より独立し、現在、株式会社ラフデッサン代表取締役を務める。

定期刊行誌、新聞社webコラム等の執筆業務を中心に、セミナー講師、個人向けFP相談を受ける。

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