コラム

ライフビジョンに基づいた療育

ライフビジョンに基づいた療育

私は、ファイナンシャルプランナーとしてお金のご相談に応じるほか、知的障がいと発達障がいのあるお子さんの学習支援教室を主宰しています。その教室の中で「とりあえず一般の高校に行けば、就職にも困らないと思うので、なんとか学校の勉強についていかせなくては」というお母さんの声を聴くこともありますし、元気でいてくれたらそれでよいとおっしゃるお母さんもいます。実際のところ、問題行動の対処に日々手を焼いていると、将来を見通すということまで考える余裕がないという方も多いのではないでしょうか。

どんなライフビジョンを思い描くか

障がいの有無に関わらず、人間が生活していくためにはお金がかかります。お子さんが学校を卒業した後の生活における、お金の出どころとして、どんな手段を思い描きますか?会社からの給与なのか、障害年金なのか、就労継続事業所からの工賃なのか、親からの援助なのか、その出どころは人それぞれでしょう。

教室で出会った知的障がいと自閉症スペクトラムのある小学生低学年男の子は、ひらがなの読み書きも難しく、自分の意思をうまく伝えることもできませんでした。また、自分の意思がうまく伝えられないときには、他害行為や失禁をして拒否の意思を表します。毎朝登校するまでの準備はすべてお母さんが行います。男の子を起こしてトイレに連れて行き、洋服を着替えさせて、朝食の準備、片付けを行い、学校で使う道具等を持たせて、スクールバスに乗るところまでついていきます。

その男の子について、将来は、施設に入所させながら、就労継続事業所ではなく一般企業で働かせたいとお母さんはいいます。

ライフビジョンからの逆算をしてみる

この男の子の事例の様に、お子さんを就労継続事業所などの福祉就労ではなく、一般企業でのお仕事に就かせたいと考える方も多いでしょう。しかし、一般企業は営利団体であり、ボランティア団体や支援団体ではありません。一人でトイレに行くといった生活面での自立ができていることはもちろんのこと、あいさつなどの最低限度のコミュニケーションスキルが備わっていることは最低限度必要です。それを前提として、企業が求める仕事をこなしていくための知識や能力が問われます。決して一般高卒、大学卒、専門学卒といった学歴だけで無条件に採用をする企業はありません。また、施設入所についても他害行為がある場合には、受け入れ先を見つけることが難しい場合もあります。

お子さんに対して将来のライフビジョンを思い描いてみることは大切なことです。しかし、思い描くだけでは理想に終わってしまう可能性があります。思い描いたライフビジョンから逆算し、現在どのような準備が必要なのかを具体的に考えて、必要な療育を行っていくことがライフビジョンを実現させるために必要なのです。

皆さんは、お子さんの将来にどのようなライフビジョンを思い描いていますか?もちろん選択肢を広げるために学力アップは必要条件ですが、それ以前の基本的なスキルを、なおざりにしてはいませんか?もしくは様々な療育に手を広げ過ぎてライフビジョンを見失ってはいませんか?この機会に、思い描くライフビジョンを実現させるために必要な療育とは何か、改めて考えてみてはいかがでしょうか。

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キムラミキ
プロフィール
キムラミキ

鳥取県立米子東高等学校卒業後、日本社会事業大学 社会福祉学部にて福祉行政を学ぶ。大学在学中にAFP、社会福祉士を取得。大学卒業後、アメリカンファミリー保険会社での保険営業を経て、株式会社アゼル(マンションデベロッパー)にてマンション営業、マンション営業企画に携わった。その後、独立系FP会社での業務委託・スタッフ経験を経て、2008年8月より独立し、現在、株式会社ラフデッサン代表取締役を務める。

定期刊行誌、新聞社webコラム等の執筆業務を中心に、セミナー講師、個人向けFP相談を受ける。

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