コラム

職場でいじめ・パワハラにあってしまったら

職場でのいじめ・パワハラが増加しています。特に障害がある方は、コミュニケーションや人間関係を築くのが苦手な方が多いので、いじめ・パワハラの被害者になりやすい状況にあります。

障害があるといじめ・パワハラにあいやすい

障害がある人がいじめ・パワハラにあいやすい原因として次のようなことが挙げられます。

・言葉数が少なくておとなしいので、弱々しく見えてしてまう
・萎縮してしまい、対等なコミュニケーションができない
・その場に合った受け応えができず、的外れなことを言ってしまう
・空気が読めず、悪気がなくても相手を怒らせてしまう

当事者がいじめの被害に遭う原因は本人の努力不足や人間性の問題ではなく、周りの人たちの無理解によることがほとんどです。いじめを防ぐためには、すぐにSOSを発信できる環境が大事です。ちょっとした嫌がらせにあった場合でも、行政やハローワーク、障害者就業・生活支援センターなどの相談窓口に相談しましょう。障害福祉サービスを活用して、就労移行支援や就労定着
支援の支援員、計画相談支援の相談支援専門員など普段から相談できる人を作っておく事も有効です。

いじめ・パワハラにあった場合の対処方法は?

いじりといじめの境界は紙一重です。悪気がなく冗談のつもりでも、本人がいじめと感じたらその時点で、それはいじめです。信頼関係が築かれていない場合であれば、なおさらです。いじめ・パワハラを受けて心理的不安が強くなると、精神疾患を発症・再発する可能性が高くなってしまいます。実際、嫌がらせにあって、不眠、頭痛、腹痛、吐き気、食欲低下、集中力低下などの症状
が見られたら、精神疾患の前兆と考えられます。

私が相談を受けている中でも、いじめ・パワハラに関することが多くなっています。常習的にいじめ・パワハラにあってしまった場合はどう対処するのが良いのか?結論から言うと、そんな職場は一刻も早く退職するべきです。そうは言っても、家族や支援者の期待を裏切るのは申し訳ないので、辞めるわけにはいかないと思っている方や、次もまたすぐに就職できるか不安を抱く方も
多いでしょう。しかし、その職場で社員に知識や理解を徹底して、職場の人間関係を改善するのは不可能に近いと言ってもいいでしょう。体調を崩してしまっては本末転倒です。職場を変えて、前回の失敗から学んだことを活かして、一から人間関係を築いていくのが、最善であると考えます。

職場を変えることを決意したら

法律上は2週間前に退職の意思を伝えていれば、辞めることができるとされていますが、退職の意思が固まったら、引き継ぎや有給休暇の消化の事も考えて、できるだけ早く退職届を提出しましょう。退職届を出しても、退職を拒否されたり、さらにいじめがエスカレートする場合があります。
トラブルが起きた時に対処できるよう、メールの文面、スマホでの音声録音、病院の診断書などをいじめ・パワハラの証拠として保管しておきましょう。

失業保険の受給を希望する場合は、離職票を依頼します。いじめ・パワハラにあった場合は、離職票に自己都合退職と書かれていても、会社都合退職の扱いにしてもらうことで、3ヶ月の給付制限が免除されます。また、障害者手帳をお持ちの方が障害者枠で失業保険を受給すると、一般受給者に比べて受給期間が大幅に長くなります。ハローワークの窓口に離職票、写真、印鑑、通帳、
マイナンバー・本人確認書類などを持参して必要な手続きを行いましょう。また、いじめ・パワハラの被害がひどい場合は、労災認定を受けられる可能性もあります。労災認定を受けると療養給付や休業補償給付などを受けることができます。

障害がある人に対するいじめは残酷であり、被害を受けた当事者は、人生を大きく狂わされます。
時には自殺にまで追い込んでしまう事もあります。いじめ・パワハラを防ぐためには、職場において、障害に対する正しい知識と理解を持ち、いじめは絶対に許さないという雰囲気が根付くことが不可欠です。いじめやパワハラを許さない職場が増え、被害に遭う当事者が一人でも減ることを願っています。


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川田 祐一(かわだ ゆういち)
石川県金沢市生まれ。
同志社大学卒業。阪神淡路大震災直後、知的障害者施設で障害者と一緒に炊き出しや仮設住宅訪問など支援に取り組む。
宇治市社会福祉協議会を経て、兵庫・宝塚のNPOで障害者の就労支援に携わり、その後、起業し、10年で事業所を阪神地域で12か所まで拡大した。
現在はインターネットメディア「障害者ドットコム」の代表、大阪医専の講師を務める。

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